第5日


 ふと、今はもう縁の切れた友人のことを思い出した。元友人とはそれなりに仲良くやらせてもらっていて、それがどの程度かというと一度家に招いたことがある程度だ。


 その時も、西向きの窓からは赤子の声がしていた。いつものことなので気にしていなかったし、元友人も気にしている風がなかったので「住宅街だからな」と思った。

 元友人はそれ以降ぱたりと連絡をよこさなくなり、たぶん今も元気でやっているのだろうが真偽は定かでない。

 たしか、友人を呼ぶから、と部屋は片付けておいたはずなのだけど、タバコの臭いがしみついて不快だったかもしれないし、普段が散らかり放題で、ゴミと洗い物を溜めないことだけに生活力を費やしているものだから、それ以外の何かが相容れなかったのかもしれない。


 そんなふうにして切れた縁は、今までたぶん、5、6本ある。

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