第78話 お還りなさいませ
「ただいま~」
「ただいまなの」
「がお」
メリィちゃん達と王都から帰ってきた。
行きは馬車で3日ほどかかったけど、帰りは召還移動が使えるので一瞬である。チート、使っちゃいました。
「あ、店長おかえり~」
「お帰りなさい、こごみさん」
「数時間ぶりくらいだけどね」
みんなにさっき買ったお土産を渡す。
「ぞんべあちゃんとグリちゃんには、はい」
ぴょん! ぴょん!
「わあ! イキがいいお肉です!」
「ニク!!」
「え、なんで肉の塊が飛び跳ねてるの……」
「イキがいいんだってさ」
「マスター! ニク!」
「こごみさん! これで何か作ってください!」
さ、捌きたくねえ……
「がお!」
「ああそうだ、これはリリーに買ったトマトね」
シュババババ……
「なんかヘタの部分プロペラみたいにして飛んでるけど」
「イキがいいから」
ヘリコプターみたいだ。
「……おいしそう」
「カーミラちゃん」
いつの間に来てたんだ。
ヴァンパイアのカーミラちゃんとヴァンパイアドラゴンであるリリーはトマトが好物だ。
「あの飛んでるやつ、後でリリーとカーミラちゃん用に捌きますね。こごみさんが」
「ユキチ、これお土産の割烹着。あとキラートマトの処理、頼んでもいいか」
「お任せなのじゃ!」
ユキチには人形劇をやっていた劇場で売っていた、着せ替え人形用の割烹着をプレゼントした。
着せ替え人形あそびで割烹着は渋すぎるだろ……。
「キョン太にはこれ」
「わあっ呪いのお札作成セットだっ! おにーさんありがとっ!!」
「えっそんな用途に使うものだったん……?」
「縁結びにも使えるよっ! ちょっと代償があるけどっ」
代償が怖すぎる。
「あ、エルダーちゃん」
「なに? 店長」
「はいこれ。お土産」
「これ……髪留め?」
「うん。前にもプレゼントしたんだけどさ、エルダーちゃんに似合いそうなのを見つけたから」
鳥の羽をイメージした青い髪飾り。
前にプレゼントしたのは蝶をモチーフにしたやつだったから、似たようなの選んじゃった感は否めない。
「付けてみた。どう?」
「うん。似合ってるよ」
「えへへ……店長、ありがと」
「……おう」
エルダーちゃんの笑顔にちょっとドキッとする。
「あーっ! おにーさんがエルダーちゃんとイチャイチャしてるっ」
「してないよ」
「ボクのお札も新しいのにしたのっ! どう?」
「えっ……あっ本当だ! 新しくなってる!」
キョン太の頭に付けてるお札が新しいやつになってる。
「さっきおにーさんに貰ったお札セットで作ったんだっ」
「それ自分で書いてたんだ」
「お主~! トマト倒したぞ!」
「こごみさん! お肉つかまえてください!」
「マスター! メシ!!」
「はいはいやりますやります」
「ウサギ肉、トマト煮込み……」
「カーミラちゃん、それ採用です」
……にぎやかだ。
「王都の喫茶店も良かったけど、ワタシはここが良いの」
「そうだな。やっぱりウチが1番だな」
「お主~! トマト煮込み作るぞ! 今日の日替わりメニューじゃ!」
「おう! 今行く! それじゃあフロアのみんな、よろしくね!」
「「「はい!!」」」
王都の喫茶店みたいな高級感は無いかもしれないけど、ウチにだって王都には負けないことがある。
ウチの店員さん、めっちゃ可愛いんですよ。
ちょっと地縛霊だったり、ゾンビだったり、呪いの人形だったりするけど……あとキョンシー(♂)とかいるけど。
あとドラゴンとか大蛇もいる。
いやどんな店だよ。
でもまあ……ちょっとスリリングでホラーなほうが、楽しいでしょ。
お客様は、人間も獣人も魔族も、誰でも歓迎です。危ない人は出禁だけど。
カランコロン。
「あっお客さんです!」
よし、今日も1日がんばろう。
「「「お還りなさいませ! メイド喫茶、あんでっどへようこそ!」」」
おしまい。
__ __
あとがき(?)
今月から生活環境が変わって、執筆活動が続けられるか分からないので、一応ここで完結とさせていただきます。
しばらくして落ち着いたら、不定期で続きか、新作を書こうかな。
人生で初めて小説みたいなものを書きました。
3ヶ月でちょうどラノベ1冊分くらい。
大変だけど楽しかったです。
ニートのひまつぶしに付き合っていただきありがとうございました。
アンデッド喫茶店へようこそ! ふぃる汰@単行本発売中 @saw92
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