あとがき

 ここまでお読みくださいまして、ありがとうございます。

 『雪の夜のまりも』完結しました。

 寒さの厳しい季節に連載を始め、私の住む関東南部では春の陽気の日に完結を迎えることができました。3月8日には札幌市でも10度を超え、稚内でも6度ということで、全国的に暖かい気候のようです。

 そのかわり、花粉が飛ぶのが真っ盛りのようですが。

 鼻炎対策で薬を飲んだら、いま、なんか世界の見えかたがぼーっとしています(笑)。

 完結してからこの「あとがき」を書くのが遅れたのは、そのせいではなくて、KAC2023に参加するための作品を書いていたからですけど……。


 それはともかく。

 ふだん雪があまり降らない街で大雪が降った夜の物語です。

 雨にも、ひょう混じりの大雨から霧雨までいろんな「表情」がありますが、雪にはさらにいろいろな表情があります。

 雪がふわふわとゆっくり降ってくるので、詩的で幻想的で、そのかわりたいした降りじゃないなと思っていたら、わりと短い時間に十センチも積もってしまった、というのは、私も経験したことがあります。

 かえってぼたぼたと勢いよく降ってくる雪のほうが積もりにくい。

 勢いよく降ってくるのはすでに空中で融けて水になりかけているからで、地面に落ちたらすぐに融けて流れてしまう。ところが、ふわふわ降る雪は、もともと融けていないからふわふわなわけで、そのぶん、冷たい。しかも、空気を含んでいるので、たとえ地面が温かくてもその熱が伝わりにくく、地面に当たっても融けにくい。そのうち雪に覆われた地面が冷えてしまって、ますます融けなくなります。

 それで、まあ、この物語のようなことが起こる、というわけです。

 春というのはロマンチックな季節ですが、気候が不安定で、いろいろと「珍しい」気候が出現するのもこの季節です(少なくとも私の住む南関東地方では)。ふだん雪が降らないところで大雪が降りやすいのも春先ですし、あと、風が強い日に「煙霧えんむ」という天候に遭遇したこともあります。


 なお、少女の家の「本家」がお茶農家、というのは、『新春の姉妹』に続いて二作めですね。

 でも、別の街の別の家族の物語です。

 小学生のころにお茶畑の見学に行って、そのときの印象が強くて……。

 『雪の夜のまりも』の街は、ある年の春に訪ねた山沿いの街の印象がベースになっています。ここは(19年型)新型コロナウイルス感染症の流行でずっと訪ねていませんけど、今年はひさしぶりに訪れてみたいと思っているところです。

 そんなわけで。

 これからまた寒くなったり、また暖かくなったりを繰り返しながら、春へ、初夏へと季節は向かって行くのだろうと思います。

 花粉はしばらく飛び続けますけどね(泣)。


 それでは、また次作でお目にかかりたいと思います(というか、『蒼蛇のヴァーリー』の連載が先に始まってしまいました)。

 今後ともよろしくお願いします。

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雪の夜のまりも 清瀬 六朗 @r_kiyose

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