静かに、緩やかに、朽ちゆく寂しさよ


 舞台は雪深い辺鄙な村落。
 限界集落と呼んでもよい寂れた場所で、子供達が雪に埋もれつつあったトンネルを見つけます。
 そこで出会うは、かつての栄光の残り香ともいうべき幻で……

 特筆すべきは節々から感じられる、「終わりのにおい」とでも表現できそうな、寂寥感。
 例えるなら、駅前のシャッター街、取り壊され空き地となった元・名所。
 過ぎ去り、ただ忘れ去られるのを静かに待つだけの、そういった……

 地方出身者としては実に身につまされる話でした。