場面場面が、一幕、二幕……と、暗転しながらの舞台のよう。しかし、色彩の表現は映像に起こしたくなるよう。想像力をかきたてられる。私は、小説を読むときに映画的か、舞台向けか、漫画的かを考える傾向にある。映像的なのに映像にし難い無色透明がでてくるあたりで、演者と演出でうまく舞台で魅せられるなと、想像しながら一回目を読ませていただきました。二回目は、どういう絵面になるのか、想像力フル回転する楽しみを満喫しました。うまく言えませんが、読み返すほどにくせになる作品だと感じています。
色彩の表現がとにかく美しく、全ての場面が脳内で鮮やかに色付いてイメージ出来ます。「無色透明」は色なのだと分かります。選択肢を間違えば絶望一直線の、緊迫感のあるストーリーの中で、温かさと希望を持てる素晴らしいラスト。気持ちが洗われ、前向きに生きていける爽やかな読後感。極彩の芸術をぜひご一読ください。
読むと「透明」が鮮やかに迫ってくる。透明が美しく描かれ、その輝きに惹かれながら読み進めていく。透明が主役で、他の色は控えめに脇を飾っている。ところが、最後の最後にずっと控えていた極彩色が輝く。透明の綺麗さを描き続けて、ラストのこの転換は、色の美しさを際立たせている。文字を追っているはずなのに、透き通った時々華やかな色を放つ世界に浸ることのできる作品だった。