ジャスミン

ジャスミン（女男年下版）

【登場人物】

成琉(なる)：乃愛に監禁されている

乃愛(のあ)：成琉を監禁している

ー本編ー

成琉Ｎ：艶のある髪が揺れるたび、僕と同じシャンプーの匂いがする

いつも笑顔で愛してると言ってくれる彼女

僕は幸せ者なのかもしれない

監禁されていなければ

乃愛：成琉先輩、愛してます

～間～

乃愛：先輩おはようございます。今日もかっこいいですね！

成琉：ふあぁ、おはよう

乃愛：ふふん可愛いな～。あ、ご飯できてるからど～ぞ～！

成琉：はいはい

乃愛：先輩の髪くるくるだ～！めっちゃ可愛い

成琉：うるさい

乃愛：わ～怒ってる先輩も可愛い～

成琉：はぁ・・・人の寝ぐせで遊ぶな

乃愛：えへっバレちゃいましたか？

成琉：バレバレだ

乃愛：んふふ～そういや先輩！明日で一年ですよ！あっという間ですねぇ！

成琉：一年か・・・

成琉Ｎ：一年前。それは僕の日常が思わぬ方向に動き出した日だ

～回想シーン～

乃愛：せんぱーい！愛してるゲームしましょ！

成琉：やだ

乃愛：じゃあ私からいきますね！

成琉：おい

乃愛：え？先輩やるっていいましたよね？

成琉：言ってない

乃愛：言いましたもんね！じゃあ私からいきますよ！愛してる

成琉：・・・

乃愛：ほぉら先輩の番ですよ。愛してるって言ってください！

成琉：やだって言ってるだろ

乃愛：じゃあ先輩の負けでいいですか

成琉：いいよ、それで

乃愛：んふふ～先輩はぁ、後輩のあまりの可愛さに照れたってことですねぇ！つまり私のことを可愛いって思ってるってことですね！

成琉：そんなこと思ってない

乃愛：またまたぁ、負けたのが悔しいからそう言ってるんですよね！もう～素直じゃないなぁ先輩はぁ！

成琉：ッチ、（小声で）愛してる

乃愛：おっ？先輩なんか言いました？！

成琉：・・・お前

乃愛：ん～？なんですかぁ？

成琉：とぼけやがって

乃愛：とぼけてないですよぉ～ほらぁ、もう一回愛してるって大きな声で言ってください！

成琉：やっぱり聞こえてるじゃねぇか

乃愛：えへへ～

成琉：・・・はぁ。一回だけだからな

乃愛：やったぁ！そういう優しいところ好きです！

じゃあ改めて私からいきますね！

愛してる

成琉：愛してる

乃愛：愛してる

成琉：愛してる

乃愛：愛してます！成琉先輩！

成琉：あ、あいしてる・・・

乃愛：あ～先輩照れた～！やっぱり先輩の負けですね！

成琉：・・・これで満足か？

乃愛：満足です！じゃあ負けた先輩は私の願いを聞いてください！

成琉：は？そんなの聞いてないんだけど

乃愛：今決めましたもん

成琉：ずるいだろ

乃愛：えー、一個くらいいいじゃないですか！後輩からの可愛いおねだりですよ？

成琉：やだよ。お前は何考えてるかわからないから怖い

乃愛：変なことは頼みませんよ～

成琉：嘘つけ

乃愛：むぅ

成琉：可愛くしたって無駄だぞ

乃愛：ちぇ～、仕方ないので諦めます

あ、先輩飲み物持ってきますよ！何がいいですか？

成琉：ん、お願い。ウーロン茶でいいや

乃愛：わかりました！行ってきますね～

成琉：あいつ黙ってれば可愛いのにな

乃愛：はい、先輩持ってきましたよ！

成琉：ありがとう

～ウーロン茶を一口飲む成琉をニコニコしながら見る乃愛～

成琉：なに？

乃愛：い～え～！あ～あ～っ！私は先輩のために飲み物持ってきたのに、先輩は可愛い可愛い後輩の願い一つも聞いてくれないんだ～悲しいな～

成琉：だってお前の願いとかめんどう・・・そう・・・だから・・・

乃愛：聞いてくれないなら～意地でも聞いてもらいますよ。んふふっ

～眠ってしまった成琉を嬉しそうに見つめる乃愛～

乃愛：先輩・・・私とずっと一緒にいましょうね

～回想終わり～

成琉：最悪だった

乃愛：何がですか？

成琉：起きたら知らない場所にいて、当たり前のようにお前がいて、ずっとここで一緒に暮らしましょうとか言われたことだよ。意味わからな過ぎて悪夢かと思ったわ

乃愛：先輩が願いを聞いてくれないのが悪いんですぅ～

成琉：お前の願いはなんだったんだよ

乃愛：私とずっと一緒にいてくださいって言うつもりでしたよ

成琉：一緒じゃねぇか

乃愛：えへへ～先輩とここで暮らすことが私の夢だったんですよぉ！私の作ったご飯を一緒に食べてぇ、一緒にゲームとかしてぇ、一緒の布団でそのまま・・・やんっ！

成琉：朝から元気だな

乃愛：先輩、こういう時は「最後のやつはまだしてないね。じゃあ・・・しようか」とか言うんですよ！そして私をベッドに連れてって・・・

成琉：僕は絶対にしないからな

乃愛：先輩、そこだけ頑なですよね

成琉：僕はお前と違って欲望のままに動かないんだよ

乃愛：心外だなぁ。これでも抑えてるんですよ？

成琉：どこが

乃愛：だってぇ、先輩を獣にすることなんて簡単なんですよ？

料理は誰が作ってると思ってるんですか？

成琉：・・・何も入ってないよな？

乃愛：入れてないですよ。一応言っておきますが一年間ずっと入れてないです

成琉：本当だろうな

乃愛：やだなぁ、私が嘘つくように見えます？

成琉：見えるから聞いてるんだ

乃愛：先輩からの信頼度がわかった気がしますぅ。しくしく

成琉：・・・

乃愛：これでも先輩から求めて来るまでは何もしないって決めてるんですよ。合意があるから気持ちよくなれるんです。一方的は冷めるだけですよ

成琉：・・・お前って変なところで常識あるよな

乃愛：ひどぉい！私常識ありありですけどぉ！

成琉：どの口が言ってるんだ

乃愛：この可愛いお口ですけどぉ！いいんですかぁ酷いことたくさん言われちゃうと私何するかわからないですよぉ

成琉：僕だって、このまま何もしないかはわからないぞ

乃愛：どういうことですかそれ

成琉：一年間、ただここで暮らしてるように見えて逃げ道を作ってる可能性だってあるんだから

乃愛：っ！（勢いよく成琉を抱きしめる乃愛）

成琉：っ乃愛

乃愛：なんでそんなこと言うんですか。逃げたら許しません。どこまでも追いかけます。絶対に

成琉：・・・ほんと、僕のこと大好きだよな

乃愛：大好きじゃない、愛してるんです。先輩が目の前からいなくなるなんてありえないんです。そうなったら私・・・

成琉：嘘だよ

乃愛：え？

成琉：別に逃げ道なんて探してないから。そんな怖い顔するなよ

乃愛：・・・逃げませんか

成琉：逃げないよ

乃愛：なんで

成琉：・・・なんでだろうな

乃愛：っ・・・（ぎゅっと抱きしめる）

成琉：乃愛～？

乃愛：うるさいです。今先輩の匂いを嗅いで安心してるので黙っててください

成琉：は、気持ち悪

乃愛：はー、一緒の匂い。落ち着きます

成琉：それはだって

乃愛：せーんぱいっ！していいですか！

成琉：・・・拒否権なんてないだろ

乃愛：えへへっその通りです！まずは着替えましょ！

～間～

成琉：なぁ、なんかちょっと大胆じゃないか

乃愛：そうですか～。かっこいいです！

成琉：さっきの仕返しも混ざってるだろこれ

乃愛：私は色んな先輩を見たいだけですよぉ。じゃあ、口塞ぎますね～

成琉：はぁ？！ちょっとまっ、んっ！！

乃愛：ここをこうして、そしたらこうやって・・・よし、できた！！わぁ可愛い！

成琉：んんー

乃愛：なんですか～あっもっとやってほしいんですかぁ？

成琉：んんーん（ちげーよ）

乃愛：んふふ、そんなにしてほしいならしてあげま・・・あー！先輩目逸らさないでください！

成琉：んんっ

乃愛：やっぱり先輩の顔って綺麗ですよね。好きです

成琉：んん

乃愛：先輩、ずっと傍にいてくださいね

成琉Ｎ：ふわりと、同じシャンプーの匂いが僕を包み込む。

『ずっと傍にいてくださいね』こいつの口癖だ。こいつは僕が思ってる以上に一人になるのを怖がる。その理由は知らないけど気持ちは分かるような気がする

乃愛：・・・えい

成琉：むうっ？！

乃愛：へへ～ん、油断しましたね先輩っ

成琉：んーんーんーー！（おーまーえー！)

乃愛：すごい顔してる！今外しますから・・・はいっ

成琉：ぷはっ、わざとやったよなお前！僕が弱いの知っててやったよな！

乃愛：可愛くてつい

成琉：からかってるだけだろ・・・まったく・・・

乃愛：へへっごめんなさい

成琉：・・・で

乃愛：で？

成琉：解いてくれないの

乃愛：だってまだ写真撮ってないですし

成琉：恥ずかしいんだけど

乃愛：そんな先輩もバッチリ納めなきゃですね！

成琉：やめろ！

乃愛：いやですぅ！たっくさん撮って秘蔵フォルダに入れます！

成琉：マジでやめて

乃愛：どんなに言ったって先輩は抵抗できないですからね～うふふっ

成琉：くっそ・・・

乃愛：これ終わったらお茶にしましょう！

成琉：いつものジャスミン茶？

乃愛：そうです。美味しい茶葉を手に入れたので飲みましょう！

成琉：それは楽しみだな

乃愛：・・・

成琉：なんだよ

乃愛：先輩が珍しく素直だと思って！

成琉：だからってスマホを向けるな

乃愛：素直な先輩可愛いですね～最高です！

成琉：あぁもう、うるさいうるさい。早く終わってくれ頼むから

乃愛：あと１００枚は撮ります

成琉：やめろ！

～数日後～

乃愛：おはようございます！せぇんぱいっ！

成琉：おはよう

乃愛：今日もかっこいいですね～

成琉：はいはい、ありがとうございます

乃愛：わ、素っ気ない！ま、そんなところも好きです！

成琉：わかったわかった。お前今日仕事でしょ、早く行け

乃愛：先輩が愛してるって言ってくれればすぐ行きます！

成琉：愛してる。ほら、言ったんだから仕事行け

乃愛：雑だなぁ。じゃあ行ってきま・・・あ、ちょっと待ってください。チョーカーに鎖繋げないと。・・・うん、今日も最高ですね。

この後暑くなるみたいなので水分ちゃんと摂ってくださいね！

成琉：わかったよ、気をつける

乃愛：じゃあ行ってきます！成琉先輩、愛してます！

成琉：行ってらっしゃい。・・・飯食うか

～少しの間～

成琉：ごちそうさまでした。・・・久しぶりに本でも読むか

成琉Ｎ：あいつが仕事の日はチョーカーに鎖が繋がれ、僕はこの家から出ることができない。けれどゲームや本など暇をつぶせるものはたくさんある。悔しいが全部僕がハマりやすいものばかり揃っている

本も絵本から漫画、小説まで幅広くあるため気付いたら周りが暗くなっていることもよくある

成琉：相変わらず、すげー本の量だよな。何か面白そうなもの・・・ん？『囚われのプリンセス』。なんか今の僕みたい・・・ってアイツの前で言ったらドレス着せられそうだな・・・

～本を読み始める～

成琉：『美しいプリンセスは誰からも愛されていました。しかし、皆に愛されることを妬んだ魔女はプリンセスを誘拐し、塔へ閉じ込めました。プリンセスは助けてと叫びましたが、誰にも声は届きません』

成琉：姫が消えたんだから国は大騒ぎだろうな。・・・僕が消えたくらいじゃ誰も心配なんか・・・ううん、やめよう

～しばらく本を読む成琉～

成琉：『そして無事に王子様が魔女を倒し、プリンセスは王子と結婚し、幸せに暮らしました』

成琉：案外面白かったな。たまたま通りかかって倒すなんて王子だからできることだよな。結局上に立つ者は力も運もあるってわけか

あ、外暗い。またやっちゃった。さすがに喉乾いたし何か飲もう

～立ち上がろうとすると目眩がし、すぐに座り込む成琉～

成琉：あ、れ。これヤバいかも・・・はぁ、はぁ、なんかフラフラす・・・る・・・はぁっ助け・・・て・・・

～成琉は部屋の中で意識を手放した～

～帰り道～

乃愛：ったくあのハゲ、ちょっとだけと言って二時間も話すとかありえない。だからハゲオヤジってバカにされるんだよ。おかげでこんな時間じゃん。何度頭の中で殺したことか。いつか本当に殺そうかな。いや、あいつのせいで先輩と一緒にいられなくなるのやだな

～家に帰ってくる乃愛～

乃愛：先輩ただいま〜ってあれ？電気ついてない。先輩～！・・・寝てるのかな？この時間に寝るなんて珍しい・・・っ？！先輩！！どうしたんですか先輩！！！

～倒れている成琉に駆け寄る乃愛～

乃愛：お願いだから返事してください！！あなたがいなきゃ私は生きてる意味ないんです！！だから返事してください！！！ねぇ先輩！！先輩ってば！！

成琉：・・・

乃愛：ねぇ・・・返事してくださいよ

・・・本当は呼びたくないけどそんなこと言ってられない

・・・もしもし、先輩が、私の大切な人が倒れてるんです。助けてください

～数日後、病院の外。退院した成琉とどこかいつもと雰囲気が違う乃愛が歩いてる～

乃愛：無事退院できてよかったですね

成琉：あぁ・・・まさか熱中症になって倒れるなんて思わなかったよ

乃愛

乃愛：なんですか

成琉：ごめん、心配かけて

乃愛：先輩が生きてたからいいんですよ。でももうあんな思いは二度としたくないです

成琉：ごめん

乃愛：謝らなくていいですから！気にしてないですよ

成琉：でも・・・

乃愛：ほら、早く帰りましょう

～歩き出す乃愛～

～立ち止まる成琉～

成琉：・・・

乃愛：ん？どうしました先輩

成琉：怒ってるだろ

乃愛：怒ってないですよ

成琉：嘘だ。お前、僕が倒れてから一回も笑ってないだろ。お前に言われたこと守らなかったから怒ってるだろ

乃愛：そんなことないですよ。先輩が生きてて本当に安心しました。だから先輩には怒ってないです

成琉：嘘つくなよ

乃愛：嘘じゃないです

成琉：ごめんって。悪いと思ってるから機嫌直せって

乃愛：（被せて）先輩

成琉：っ！

乃愛：そうじゃない。そうじゃないんですよ

成琉：・・・

乃愛：帰りましょう

成琉：・・・あぁ

～無言で歩き出す二人～

～家に着くもどちらも言葉を発さない～

～部屋に入ると成琉を抱きしめる乃愛～

成琉：わっ乃愛っ

乃愛：・・・違う

成琉：は？

乃愛：同じ匂いじゃない。色んな匂いがする

成琉：それは病院にいたから当たり前だろ・・・

乃愛：全部脱いでください

成琉：なんで

乃愛：いいから早く

成琉：お前、やっぱり怒ってるだろ

乃愛：ねぇ、なんで脱がないんですか。あ、わかった、久々に外に出て匂いがいつもと違うから脱ぎたくないんだ。それなら私が脱がせてあげます

成琉：え、ちょ、乃愛！脱ぐ！脱ぐから！僕一人でできるからやめろ！離せって！

乃愛：うるさい！！

～思いっきり成琉の頬を叩く乃愛～

成琉：いっ！

乃愛：いつから私に逆らうようになったんですか？私の可愛い成琉先輩は私の言うことをいつも全て聞いてくれた。同じシャンプーの匂いがして、なんやかんや言って私を受け入れてくれる先輩はどこいったんですか！

今のあなたは色んな人に触られて、病院の匂いに染まって、私の言うことにも逆らって。そんなの私の知ってる先輩じゃない

私以外誰も触ってほしくなかった。だから一年間ずっとここから出さなかったのに。穢れた女共にべたべた、べたべた触られたんですよね？検査されたんですよね？そんなの、許せるわけないじゃないですか。私の成琉先輩なんですよ！！

そんなこと想像しただけで虫唾が走りましたけど、先輩を守るために救急車呼びました。

偉いですよね私。偉いですよね！自分の欲より先輩を優先したんですよ

でも、先輩は自分の欲を優先するんですね。やっぱりここから逃げたかったんですね

成琉：ちが

乃愛：私の愛は足りなかったんですか？もっともっと愛せば逃げなかったですか？

成琉：落ち着けって

乃愛：もう私の先輩じゃないんだ。誰のせいですか？あぁそっか病院のせいか。だったらみーんな殺さなきゃ。でもその前に

成琉：おい・・・乃愛・・・

乃愛：同じ匂いがしなくても、逆らっても私はあなたを愛してます。だからまずはいつも通りのかっこかわいい先輩に戻ってください

私決めたんです。もう他のやつらに触らせないように、一瞬たりともあなたから離れないって

大丈夫、あなたのことはずっと素敵にします。先輩は、成琉は私の大切な存在ですもん

～ゆっくりと成琉に近づく乃愛～

成琉：乃愛・・・まて、おい待てって・・・んっ！！

～成琉に馬乗りになり首を絞める～

成琉：かっは・・・っん・・・の・・・あ・・・

乃愛：あぁ私の大好きな大好きな先輩。まずは謝ってください！ここから逃げようとしたこと謝ってください！！

成琉：・・・ご・・・なさ・・・

乃愛：はぁっ苦しんでる顔も可愛いなぁ。愛してる、愛してますよ先輩！私のこの想い届いてますか？届いてますよね！！あなたを世界で一番愛してるのは私です！！文句なんて受け付けない！成琉は私のものだから！！

成琉：・・・

乃愛：ねぇ成琉も私のこと愛してるでしょ？・・・あれ、成琉？返事してよ。なんで返事しないの。もしかして死んじゃった？・・・あ、そっか私の手で成琉を

っそんな、成琉・・・

ふふ、アハハハハハハハハ！！死んじゃったならもう誰にも触られない！！最初からこうすればよかったかなぁ！こうすれば、先輩が穢れることもなかったんだ！！

・・・早く消毒液の匂い消さなきゃ私と一緒になってもらわなきゃ

はぁ、せんぱぁい

～優しく抱きしめる～

乃愛：ずっと愛してますよ。だから・・・ずっと傍にいますからね

終わり