ジャスミン

ジャスミン（男女年下版）

【登場人物】

沙央梨：樹に監禁されている

樹：沙央梨を監禁している

ー本編ー

沙央梨Ｎ：触れるたび、私と同じシャンプーの香りがする

いつも笑顔で愛してると言ってくれる彼

私は幸せ者なのかもしれない

監禁されていなければ

樹：沙央梨さん、愛してます

～間～

樹：沙央梨さんおはようございます

沙央梨：ふあぁおはよう樹

樹：眠そうですね

沙央梨：そりゃあね

樹：二度寝してもいいんですよ？その間にご飯作っておきますから

沙央梨：それ、私が寝てる間にどんどん豪華になるやつでしょ。朝から大食いなんて勘弁だから寝ない

樹：そ、そんなことしませんよ！確かに今日は食材多く用意してますけど

沙央梨：はぁ、あんたって休みの日はほんと元気だよね

樹：だって沙央梨さんと一日中一緒なんですよ？張り切ってご飯だって作りますよ！

沙央梨：その元気を分けてほしいわ

シャワー浴びてくる

樹：はい

あっそういえば沙央梨さん！

沙央梨：んー？

樹：明日で一年ですよ。早いですね

沙央梨：あー、一年か・・・

沙央梨Ｎ：一年前。それは私の日常が思わぬ方向に動き出した日だ

～回想～

樹：先輩っ！愛してるゲームしませんか

沙央梨：どうした突然

樹：なんかやりたくなったので！

沙央梨：なら私なんかよりもっと若い子とやりなさいよ。私とやっても面白くないでしょ

樹：僕、先輩とやりたいんです

沙央梨：はぁ？何？誰かに罰ゲームでやれって言われたの？

樹：違います！僕は本気ですよ！だめですか？

沙央梨：・・・そんな可愛い顔されたらやるしかないかぁ

樹：やった～！

沙央梨：でも一回だけだからね

樹：はい！

沙央梨：ほら、さっさと終わらせるよ

樹：負けませんよ～

じゃあ僕からいきますね！

愛してる

沙央梨：愛してる

樹：愛してる

沙央梨：愛してる

樹：愛してます。沙央梨

沙央梨：あ、あいしてる・・・

樹：あれ？先輩照れました？

沙央梨：て、照れてない

樹：照れましたよね！先輩可愛い！

沙央梨：可愛くないし。呼び捨てとかずるいでしょ

樹：照れさせたら勝ちですからね！愛してる以外もありなんですよ

沙央梨：なんか悔しい

樹：もう一回します？

沙央梨：やらない

樹：そうですか

でも可愛かったなぁ。照れてるの可愛かったです！

沙央梨：わかった、わかったから！先輩をからかうのもいい加減にしなさい

樹：え？僕からかってました？

沙央梨：うん。ずっとね

樹：・・・もしかして可愛いっていうのがそうだと思われます？

沙央梨：私にはそうにしか聞こえないけど

樹：本心なのになぁ

沙央梨：嘘つけ

樹：嘘じゃないです！

んー、あっそうだ先輩。

僕が勝ったので、一つ願い事聞いてくれませんか

沙央梨：・・・えー、どうしよっかなー

樹：だめ・・・ですか？

沙央梨：その上目遣いしたら何でも許されると思わないで

・・・まぁ、聞くだけ聞いてあげる

樹：よっしゃ！

あの、先輩

僕とずっと一緒にいてくれませんか

～回想終わり～

沙央梨：びっくりしたよね

樹：何がですか？

沙央梨：「一緒にいてくれませんか」が、ここで一緒に暮らすという意味だったことだよ

樹：あぁ

あの時の沙央梨さん「やっぱりからかってるでしょ？」って言ってましたもんね

沙央梨：当たり前でしょ？付き合ってもない後輩にプロポーズまがいなことを言われたわけよ。しかも突然。からかわれてるとしか思えないでしょ

樹：僕はずっと本気ですよ

沙央梨：そうね

なにより後輩に養われるなんて思わないでしょ普通。意味わかんない

私が気付いてないだけでエイプリルフールかもしれないって何度日付を確認したことか

樹：あれは四月じゃないですよ

沙央梨：知ってるっつーの！

ごちそうさま

樹：あの時はチャンスを逃しちゃいけないって思ったので勢いで言っちゃいました

沙央梨：あんたらしいというかなんというか・・・

樹：まさか実現するとは思ってなかったですけど

沙央梨：「本気」だったんでしょ？

樹：本気でしたよ。でも夢が全部叶うなんて思わないじゃないですか

沙央梨：夢、ねぇ

樹：ずっとここで沙央梨さんと二人で暮らすことが僕の密かな夢でした。そのために働いてると言っても過言じゃなかったです

沙央梨：・・・へぇ

樹：引いてます？

沙央梨：一年前なら気持ち悪いって口に出してたわ

樹：ひどいなぁ。僕は

沙央梨：本気、でしょ

それで？

樹：あぁ、えと・・・人生何があるかわからないですよね

沙央梨：ほんとにね

樹：今もこうして沙央梨さんがいて、僕の作ったご飯を食べてくれるなんて幸せですよ

沙央梨：・・・

樹：でもだからたまに怖くなるんです。この夢から覚めてしまうんじゃないかって

この幸せは全部嘘で、朝起きたら沙央梨さんはいないんじゃないかって

沙央梨：今更逃げると思う？・・・なんて言っちゃう私も私だけど

樹：もしあなたが逃げたら僕はどこまでも追いかけますよ

そしていつまでも沙央梨さんの隣にいます

沙央梨：あんた、ほんと私のこと大好きだね

樹：大好きじゃない、愛してるんです

沙央梨：はいはい

皿片付けるね

樹：僕やりますよ

沙央梨：やだ。これくらいしないと本当のダメ人間になる

樹：ダメ人間でも沙央梨さんは

沙央梨：（被せて）はーいその先は言わせません

樹：なんでですか

沙央梨：自分の心に聞いてみな

樹：沙央梨さんは可愛い

沙央梨：は？

樹：心の声です

沙央梨：そうですか

～キッチンに皿を置きに行く沙央梨～

樹：ねぇ、沙央梨さん

沙央梨：なに？

樹：ご飯美味しかったですか？

沙央梨：・・・美味しかったよ

樹：っ！

～沙央梨を抱きしめる樹～

沙央梨：おわっ！急に何よ

樹：へへっ、嬉しくて

沙央梨：苦しいんですけど？

樹：はー、僕と同じ匂い。安心します

沙央梨：聞いてないな

樹：先輩

沙央梨：なに？

樹：していいですか

沙央梨：・・・やだって言ったら？

樹：します

沙央梨：だと思った

・・・優しくしてよ

樹：もちろんです。今日も最高に可愛くしてあげますからね

～間～

沙央梨：ねぇ、今日はちょっと大胆すぎじゃない

樹：とても素敵ですよ

沙央梨：こういうのを着る歳じゃないのよ恥ずかしい

樹：沙央梨さんは何歳でも美しいですよ

それじゃあ、口塞ぎますね

沙央梨：ちょっとま、んっ

樹：ここをこうして、そしたらこうやって・・・

よし、できた！！おー、いい！

沙央梨：んんー

樹：とってもエロいです、沙央梨さん

沙央梨：んんーん

樹：あ、目そらさないで。こっちを見てください

沙央梨：んー

樹：そうですそうです

はー照れてるの可愛いしエロい

沙央梨：んんー

樹：沙央梨さん

ずっと傍にいてくださいね

沙央梨Ｎ：ふわりと同じシャンプーの匂いに包まれる。『ずっと傍にいてくださいね』彼の口癖だ

きっと本人が言ってたように私が消えるのが怖いんだ。口癖が出る時、とても優しい顔をする

日々愛してるや可愛いなど甘い言葉で満たしてくれるのが心地よくて

埋めてほしかった穴を埋めてくれてる気がして

ならこのままでもいいかと、すべてを預けてここにいる

樹：・・・えい

沙央梨：むうっ？！

樹：ふふ、ちょっとくすぐっただけですよ

沙央梨：んーんーんー！(おーまーえー！)

樹：あぁちょっとそんなに怖い顔しないでくださいよ。今外しますから。・・・はいっ

沙央梨：ぷはっ、わざとやっただろ！私が弱いの知っててやったなお前！

樹：抑えられなくて、つい

沙央梨：つい、じゃないよ！ったく・・・

樹：ごめんなさい。痛くないですか？

沙央梨：心配するとこそこ？

樹：傷つけたいわけじゃないですから

沙央梨：・・・痛くはない。恥ずかしいだけよ

樹：そうですか。ふふっ

沙央梨：何笑ってんの

樹：いや可愛いなって思って

沙央梨：可愛くないですぅ

樹：可愛いですよ！怒ったらちょっと口が荒くなったり、恥ずかしがったりする沙央梨さんは可愛いです

沙央梨：うるさい

樹：へへ、そういうとこも可愛い。少し疲れましたよね、お茶でも飲みましょうか

沙央梨：いつものジャスミン茶？

樹：そうです

沙央梨：・・・あんたの淹れるジャスミン茶好きだけどさ。その前に

樹：なんですか？

沙央梨：解いてよ

樹：えー

沙央梨：えーじゃない

樹：もうちょっとだけ見てちゃだめですか？

沙央梨：だめです。そろそろ私がもたない

樹：エロ美しい沙央梨さんを見ながらお茶淹れようと思ったんですけど

沙央梨：だめ

樹：・・・もうちょっとだけ

沙央梨：やだ

樹：・・・わかりましたよ

樹：（ちょっとの間）はい、解けました

沙央梨：はぁー身体の自由を感じる

樹：もうちょっと見たかったな

沙央梨：なんか言った？

樹：何にも言ってないです！

お茶、淹れてきますね

沙央梨：うん

～数日後～

樹：おはようございます沙央梨さん

沙央梨：おはよう

樹：今日も可愛いです

沙央梨：はいはい、ありがとうございます

樹：素っ気ないですね。ま、そんなところも好きですよ

沙央梨：毎日好きとか可愛いとか飽きないねぇ。今日仕事でしょ、早く行け

樹：沙央梨さんが愛してるって言ってくれればすぐ行きます！

沙央梨：愛してる。ほら、言ったんだから仕事行ってこい

樹：はーい姉さん

沙央梨：お前の姉になった記憶はない

樹：ふふふ。じゃあ行ってき・・・あ、ちょっと待ってください。チョーカーに鎖繋げないと。・・・うん、今日も最高ですね

この後暑くなるみたいなので、水分はちゃんと摂ってくださいね

沙央梨：わかった、気をつける

樹：じゃあ行ってきます！沙央梨さん、愛してます！

沙央梨：行ってらっしゃい。・・・愛してるか

さて今日は・・・本でも読もうかな

沙央梨Ｎ：樹が仕事の時はチョーカーに鎖が繋げられ、この家から出ることができない。しかし、家にはたくさんの本があり、一日時間を潰すにはちょうどよかった

沙央梨：何読もうかな・・・ん？『囚われのプリンセス』。まるで今の私みたい・・・なんてそんな歳じゃないね

～本を読み始める沙央梨～

沙央梨：『美しいプリンセスは誰からも愛されていました。しかし、皆に愛されることを妬んだ魔女はプリンセスを誘拐し、塔へ閉じ込めました。プリンセスは助けてと叫びましたが、誰にも声は届きません』

姫が消えたんだから国は大騒ぎだろうな。・・・私だって心配くらいされてる・・・わよね

～しばらく本を読む沙央梨～

沙央梨：『そして無事に王子様が魔女を倒し、プリンセスは王子と結婚し幸せに暮らしました』

読み終わっちゃった。王子がたまたま通りかかって倒して結婚かぁ。そんな簡単に幸せになれたらいいのに

あぁもう外暗い。思ったより夢中で読んじゃったからなにか飲まないと

～立ち上がると目眩がし、すぐに座り込む沙央梨～

沙央梨：あ、れ。お、かしいな・・・はぁ、はぁ、なんかフラフラす・・・る・・・はぁっ誰か・・・樹・・・助け・・・て・・・

～沙央梨の声は誰かに届くことなく、彼は部屋の中で意識を手放した～

～帰り道～

樹：ったくあのババア、ちょっとだけと言って二時間も話やがって。おかげで帰るのが遅くなっただろ。何度頭の中で殺したことか。いつか本当に殺してやろうか。なんて、そんなことしたら沙央梨さんと一緒にいれなくなっちゃう。それだけは絶対嫌だ

～家に帰ってくる樹～

樹：ただいま～ってあれ？電気ついてない。沙央梨さーん？寝てるのかな？この時間に寝るなんて珍しい・・・っ？！沙央梨さん！！どうしたんですか、しっかりしてください！！！

～倒れている沙央梨に駆け寄る樹～

樹：沙央梨さん！お願いだから返事してください！！あなたがいなきゃ僕は生きてる意味ないんです！！だから返事してください！！！沙央梨さん！！沙央梨さん！！

沙央梨：・・・

樹：・・・返事してくださいよ

・・・本当は呼びたくないけどそんなこと言ってられない

・・・もしもし、沙央梨が、僕の大切な人が倒れてるんです。助けてください

～病院の外。退院した沙央梨とどこかいつもと雰囲気が違う樹が歩いてる～

樹：無事退院できてよかったですね

沙央梨：うん・・・まさか熱中症になって倒れるなんて思わなかったよ

・・・樹

樹：はい

沙央梨：心配かけてごめん

樹：沙央梨さんが生きてたからいいんですよ。でも、もうあんな思いしたくないです

沙央梨：ごめん

樹：謝らなくていいですから！気にしてないです

沙央梨：でも・・・

樹：ほら、早く帰りましょう

～歩き出す樹～

～立ち止まる沙央梨～

沙央梨：・・・

樹：ん？どうしました沙央梨さん

沙央梨：怒ってるでしょ

樹：怒ってないですよ

沙央梨：嘘だ。あんた、私が倒れてから一回も笑ってないじゃん。あんたに言われたこと守らなかったこと怒ってるんでしょ

樹：怒ってないです。沙央梨さんが生きてて本当に安心しました。だから沙央梨さんには怒ってないです

沙央梨：・・・ねぇ樹嘘つかないで

樹：嘘なんか

沙央梨：じゃあなんで私のこと見てくれないの

樹：・・・

沙央梨：あんたは今、何を考えてるの

樹：(被せて)沙央梨さん

沙央梨：っ！

樹：・・・怒ってない。怒ってないですから。帰りましょ

沙央梨：・・・うん

～無言で歩き出す二人～

～家に着くもどちらも言葉を発さない～

～部屋に入ると沙央梨を抱きしめる樹～

沙央梨：わっ樹っ

樹：・・・違う

沙央梨：は？

樹：同じ匂いじゃない。色んな匂いがする

沙央梨：それは病院にいたから当たり前

樹：全部脱いでください

沙央梨：なんで

樹：いいから早く

沙央梨：樹あんたおかしいよ、やっぱり怒ってるんでしょ

樹：ねぇ、なんで脱がないんですか。あっわかった、久々に外に出て匂いがいつもと違うから脱ぎたくないんですね。それなら僕が脱がせてあげます

沙央梨：は、ちょ、樹！わかった、脱ぐ！脱ぐからっ私一人でできるからやめて！離してって！

樹：うるさい！！

～思いっきり沙央梨の頬を叩く樹～

沙央梨：いっ！！

樹：いつから僕に逆らうようになったんですか？僕の大好きな沙央梨さんはいつも僕の言うことを全て聞いてくれました。同じシャンプーの匂いがして、僕の淹れるジャスミン茶を美味いって飲んでくれる沙央梨さんはどこに行ったんですか。今のあなたは色んな人に触られて、病院の匂いに染まって、僕の言うことにも逆らって。そんなの僕の知ってる沙央梨さんじゃない

僕以外誰も触ってほしくなかった。だから一年間ずっとここから出さなかったのに。まさかあなたが倒れて病院に行くとは思わなかったです。穢れた奴らにべたべた触られたんですよね？あぁ嫌だな虫唾が走るな。僕の沙央梨さんなのに

僕、沙央梨さんを守るために救急車を呼んだんですよ。偉いですよね

独占したい気持ちをグッと堪えて沙央梨さんを優先したんですよ

でも、沙央梨さんは自分の欲を優先するんですね

沙央梨：樹・・・

樹：もう僕の沙央梨さんじゃないんですか。誰のせいです？あぁそうか病院のせいか。だったら全員殺さなきゃ。でもその前に

沙央梨：ねえ・・・樹・・・

樹：同じ匂いがしなくても、逆らっても僕はあなたを愛してます。だからまずはいつも通りの沙央梨に戻ってよ。僕決めたんです。もう他の奴らに触らせないように一瞬たりともあなたから離れないって

大丈夫、あなたのことはずっと大切にします。だってあなたは姉さんのようなかけがえのない存在だから

～ゆっくりと沙央梨に近づく樹～

沙央梨：ねぇ待って！待ってよ！いつきっんっ！！

～沙央梨に馬乗りになり首を絞める～

沙央梨：かっは・・・っん・・・いつ・・・き・・・

樹：あぁ僕の大好きな大好きな沙央梨さん。まずは謝ってください！謝ったら許してあげます！

沙央梨：・・・ご・・・なさ・・・

樹：・・・あぁ、苦しんでる顔も可愛いですね。愛してます、愛してますよ沙央梨さん！僕のこの思い届いてますか？あなたを世界で一番愛してるのは僕だ！！文句なんて受け付けない！沙央梨は僕のものだから！！

沙央梨：・・・

樹：ねぇ沙央梨も僕のこと愛してるでしょ？・・・あれ、沙央梨？返事してくださいよ。なんで返事しないんですか。もしかして死んじゃった？・・・あ、そっか僕の手で沙央梨を

っそんな、沙央梨・・・

ふふ、アハハハハハハハハ！！死んじゃったならもう誰にも触られない！！最初からこうするべきだったんだ

こうすれば沙央梨さんは穢れなかったんだ。・・・僕と同じにしなきゃ早く消毒液の匂いを消さなきゃ

・・・はぁ、沙央梨さん

～優しく抱きしめる～

樹：ずっと、ずっと愛してます。だから・・・ずっと傍にいてくださいね

終わり