ミステリー小説書きのあれこれ

柚緒駆

2023/01/11

 これは粋(スイ)さんの、「読者さんのための質問企画」に答えたモノ。

 「質問企画に答えてみる」の方にまとめたので、こちらは近日中の削除を考えている訳だが、さてどうしたものか。

 特段読んで面白い話は出てこないが、まあそれはいつもの通り。


 そんな訳で回答開始。



1)一般文芸寄り? or ラノベ寄り?


 そもそも一般文芸しかマトモに読んだことがないので、おそらくは一般文芸寄り。ラノベでミステリーが書けないなどと大それたことを言うつもりは毛頭ないのだが、正直な話、あっても読みたいと思うかどうか。食指は動かないような気がする。



2)よく作品に使うタグは?


 殺人事件 探偵小説 人間コピー機 クズ 



3)ウェブでいうテンプレの傾向


 そんな感じなのでテンプレを自分なりに分析した経験はない。テンプレがなくても自分の小説は書けるので問題はない。しかしテンプレというか、自分自身の手癖で書いている部分は少なからずある。



4)序盤にテンプレを使う? or 匂わせる?


 もし自分の頭にテンプレというものがキッチリ入っていて、使い方もマスターしているのであれば、テンプレは序盤でわかりやすく使うはず。それを読んだ読者は「ああ、この作品はテンプレ作品なのだな」と理解してくれる。すると、物語が進んでテンプレから離れると「あれ、これテンプレじゃなかったのかな」と心が揺れ動くし、逆にテンプレを繰り返し使い続ければ、安心して読み進めてくれる。

 最終的にどんでん返しがあるのならなおのこと、テンプレの使用は最序盤で明確にしておくべきだと思うところ。



5)盛り上がる展開まで、どんな部分で読者さんを惹き付ける?


 登場人物に対する興味がメインの物語の筋を覆い隠すような、キャラクターの配置ができれば成功。読者がキャラにばかり意識が行って、本筋を断片的にしか覚えていない状態をクライマックスまで維持できれば、最後の謎解きのインパクトは最大になる。



6)鬱展開を入れたことは? どうしてそれを入れるのか?

 入れるときに気をつけていることは?


 人が死ぬ話が多いので、鬱展開は必ずある。避けようがない。それでもテンポ良く淡々と物語を進めていけば、読者は緊張感を維持したままで物語の先を意識する。そういう意味で鬱展開は必要。

 ただし鬱展開中にいろんな情報を詰め込んでしまうと、読者から「もうええわ!」と言われてしまうことにもなりかねない。鬱展開のときは可能な限り情報を詰め込まず、ストレスなく読めるようにしておいた方がいい。



7)コメディ的な場面は多い? 少ない?


 落語家の桂枝雀氏曰く、笑いは緊張と緩和である。まず観客を緊張させておいて、それを急激に緩めると、自然と笑いが湧いてくるものらしい。この辺は小説でも同様と言える。ギャグを放り込んだりして無理矢理笑いを起こそうとはしないが、様々な緊張と緩和を繰り返せば、シリアスな展開でも自然と笑えるシーンは出てくる。

 したがって、あえてコメディ的なシーンを作る理由はない。



8)無慈悲にざまぁする?


 ミステリーでざまぁするシーンというのが思いつかないが、最後の最後、真犯人が追い詰められるシーンに関してはその要素があるかも知れない。ならばその答はイエスである。どんなに可哀想な過去を持った真犯人でも、自らの犯した罪でボコボコに殴り倒されるシーンがなければ、読者はカタルシスを感じない。犯人に同情するのはその後の話なのだ。



9)読者さんに楽しんでもらえると思うポイント


 シャーロック・ホームズ的な推理の冴えで、ドンドン容疑者を追い詰めて行くような物語ではなく、あちこちフラフラと試行錯誤を重ねながら、少しずつ天才的犯罪者ににじり寄っていく、そんな物語が読みたい人には楽しめる作品。派手なトリックはないが、情報は全部読者に開いて見せ、犯人も最後のどんでん返しさえも予測可能な、フェアなミステリー。頭を絞ってみたい人にはお勧め。



10)バッドエンドで終えたことは?


 人が死ぬ話なので完全なハッピーエンドになることは少ないものの、バッドエンドはもっと少ない。仮に真犯人の犯行のすべてが解き明かされても、その結果事態が好転せず、それどころかどうしようもないドツボに落とされるような展開になったりもする。しかし人間はドツボに落ちようとも笑うし、ただ絶望しか残らないバッドエンドというのは、相当計算しないと難しいのではないか。計算せずにバッドエンドにしてしまったら、おそらく読者は「手ぇ抜きやがったな」と感じるかも知れない。実際そうだろうしな。



11)最後に作者さんの自由に書いてください


 このやり方を学べば絶対に面白い物語が書ける、なんて方法はない。それがもしあるのなら、出版業界が不況になるはずがない。今頃、本が売れて売れてウハウハになっているはずだ。だから、ここに書いてあることは一つの解答ではあるが、正解では決してない。結論を言えば、自分の創作ノウハウは、自分で見つけるしかないのである。と、最後だけ作者向けに書いてみる。



代表作のタイトル:強請り屋 静寂のイカロス

キャッチコピー:アルファポリス「第2回ホラー・ミステリー小説大賞」特別賞受賞

リンク:https://kakuyomu.jp/works/1177354054889130572

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ミステリー小説書きのあれこれ 柚緒駆 @yuzuo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る