陽皇巫師物語

@ouhuyu-tsubaki

第1話

雨津邦あまつくに


陽皇神国本州の内海における帝海みかどかいに面するこの邦は、年間を通して温暖な気候と、急傾斜地が多いという地形的特徴から、住民の多くは果樹栽培に力を入れていた。


なかでも、現地で穫れる蜜柑みかんは、凝縮された果実の味と食べ応えに定評があり、皇室の料理人も重宝するほどのものらしい。


また、森林や山々の豊かな緑が豊かであり、河川に流れる水の美味さと新鮮さも別格だった。


その素晴らしい自然環境から、龍珱大皇りゅうおうたいこうが紫龍の年に、〈天園てんえん〉なる皇族が所有する領地とお定めになった。


          ✿



畦道あぜみちを慎重に走る公車こうしゃ[※1]の中。


雨季のためにたっぷりと濡れる田畑を眺めながら、真蓮茉尋しんれんまひろは革張りの後部座席に控えめに座り、幼少の頃の記憶を想起そうきしていた。


夕立をはじめて目にした時の記憶である。



         ◇◆◇



茉尋はその日、蝉の啼音なきねに満ちる蒼穹そうきゅうに沸き立つ入道雲に、自宅の二階の回廊から見惚みとれていた。


克明で緻密な輪郭を重ねて屹立きつりつするそれは、要塞を彷彿ほうふつとさせた。

烈々れつれつたる暑気が築きあげた天然の要塞。


すると、異変が起こった。


突然に雷鳴をともなう驟雨しゅううが、すさまじい音を立てて降ってきたのだ。


大空の怒号は幼女の耳朶じだにとどろき、心は強くわなないた。


たまらず耳を塞ぎ、母の居室に逃げ込む。


母は体が弱く病気がちだったので、記憶にある限り、常時布団が敷いてあった。


茉尋は開けた襖も閉めず、真綿の布団が掛かる母の膝元に顔を突っ伏して、がくがくと震えた。


はじめは血相を変えて自身の所へ駆けてきた娘の唐突な訪問に驚いた母だったが、要因をすぐに察して、目を赤くする茉尋を抱き寄せ


「あれは夕立といって、この時期にはよくあるものなのよ。あの大きな雲から、たくさんの雨粒が一気に降るの」


と、頭を撫ぜながら、おそろしい自然現象の正体を優しく教えてくれた。


母の掌の温度と穏やかな声音に、恐怖で凍てつく茉尋の表情は安堵に和らいだ。


そんな彼女に微笑むと、雨脚が落ち着き、再び射し込む太陽の凄まじい光に反射しぎらぎらと輝く窓外の景色に目をやり、ぽつりと母は呟いた。


「心というものは、雲と同じなのかもね」


母の紡いだ言の葉は、己に対して言ったものなのか、はたまた単なる独り言だったのかは定かではない。


だが、この夏の夕方を境にして、茉尋は降雨の度にその一言が脳裏をもたげ、中に込められた意味を知りたい衝動に駆られるようになったのであった。



         ◇◆◇



……この雨は、いつものものだ。


脅威的な激しさは絶無ぜつむ、寧ろ静寂に心を包む、そんな長い霧雨きりさめである。


「道がまるで分からんなあ。事前に話は聞いていたが、まさかここまでだとは」


知らず知らずのうちに過去の記憶に浸り過ぎていた茉尋は、左隣の少年―――暈能觜馬かさのはつまの声で、眠りから覚めたようにハッと顔を上げる。


「おいおい、あんまりボンヤリされたら困るぜ」


觜馬の発言に、茉尋は頭を小さく垂れた。


この行為は、重大ではないが何かしらの粗相そそうをしてしまった際の謝罪の意を有する。


「嬢様、術使って霧を消してくれねえか。何処を進んでんのか分からなくなっちまったみてえで。技官ぎかん[※2]が」


聞いて外を見てみると、確かに先ほどとはうってかわって、異様に濃度の高い白い霧が、妨害するようにして四方に立ち込めている。


即座に首を縦に振って、瞼を閉じて雨音に意識を集中させ、白磁はくじのような細長い人差し指を一本道の最奥さいおうまで示した。


すると、茉尋の無言の命令に従うかのように、執拗な霧はたちまち取り払われた。


藁屋根の倉庫の渋い木の茶色と、山々の連なる深緑が鉛の曇天の下に対比を示す景観が明確になる。


「このまま直進しな」


觜馬は短く礼を述べて、技官に快活に言った。


「ありがとうございます」


技官は運転を再開した。



          ✿



静養宮せいようぐう―――正式名称〈天園属緑景静養宮てんえんぞくりょっけいせいようぐう〉は、龍珱大皇りゅうおうたいこうなる二代目君主の勅命ちょくめいにより造営ぞうえいされた離宮の一である。


現在は【天仁王てんにんおう】の宮姓きゅうせいを授与された陽賀大皇ようがたいこう皇兄こうけいで、今上大皇きんじょうたいこう秋聡大皇しゅうそうたいこうの伯父にあたる貴悟たかご殿下が、妃である春女はるめ殿下と共にお住まいになられている。


静養宮は、麗月邸御殿れいげつていごでんを本殿に、苑地えんち真邸苑地しんていえんち華園かえん准月邸御殿じゅんげつていごでん茶園さえんで構成され、広大な敷地内は松をはじめとした無数の針葉樹にて護られている。


鋭利えいりな葉を広げる黒松がそびえるかの如く屹立きつりつする正面玄関入口に待機していた、迎人むかえびと[※3]の案内で、中に入る。


華美に華美を重ねた風変わりな骨董品、金色の額縁に納まる超写実主義ちょうしゃじつしゅぎの絵画など、世界各国の王室や帝室から贈呈ぞうていされたであろう文物ぶんぶつに飾られた回廊を歩き、夫妻殿下のおられる御座所ござしょ の扉の前に立った頃には、茉尋をめまいが襲っていた。


このような絢爛豪華けんらんごうかな場所などに足を運ぶことはさほど多くないため、こうなるのも無理はない。


「殿下。失礼いたします。巫師ふし様と守護人しゅごにん様がおいでになられました」


迎人の言葉が終わってすぐに、


「お通ししてくれ」


と柔和なお声が扉越しから返り、茉尋の緊張はいささかなごんだ。


[いつものようにしときゃあいいのさ]


頭の中で觜馬が語りかける。


茉尋はこくりとまた、頷いた。


「お越し頂きまして、感謝申し上げます。〈遣邦巫師けんほうふし〉様。〈守護人しゅごにん〉様」


遣邦巫師けんほうふし〉とは、神国各地の怪異の討伐と浄化を専務せんむとする〈対武職たいむしょく〉の女子従事者で、茉尋はこれに勤めている。


守護人しゅごにん〉は、何かしらの身体的事情を抱える〈対武職たいむしょく〉従事者の身辺を助ける役職だ。


そして、扉を開いた先に、二人に微笑を向けられる御夫妻こそが、天仁王貴悟殿下と春女殿下である。


かっちりとした背広をお召しになる貴悟殿下と、絹生地がなめらかなドレスに御身を包む春女殿下の佇まいは、大輪の花を思わせた。


御上おかみの伯父伯母という立場にありながら、〈対武職たいむしょく〉ふぜいの自身らを、正装でもてなすお二人の誠実さは実に素晴らしかった。


それぞれの胸のうちにに要らぬ羞恥心しゅうちしんと、感嘆を起こさせるほどに。


「長距離におよぶ大変な移動だったでしょう。今、お茶菓子を用意させておりますゆえ、どうぞお掛けになってください」


皇族であらせられる貴悟殿下から恭しいお言葉をたまわった茉尋は、先刻とは異なる緊張感に見舞われる。


[いつも通りしときゃ良いって言ったばっかりだろうが]


觜馬があきれたように頭の中で語り掛けるが、身位の高い御方を前にして通常どおりでなどいられぬ気質の茉尋にとって、彼の発言の実行は一、二を競うほどの難事業だ。


しかし、回廊とは対象的に、畳と木材を基調とした西欧の古風な調度品が違和感なく融合する様式の御座所の空間は、次第に茉尋を落ち着かせていった。


猫脚が優美なバルーンバック・チェアーは、普段椅子に座り慣れておらずとも心地良く座せる代物で、公車の革張りの座席の質感に疲れていた二人の足腰をたちまち癒やした。


と同時に、扉を三度叩く音が響き


「失礼いたします」


律儀な若い女の声と共に、薔薇と唐草模様が複雑に絡まる図柄の模様が、シャンデリアの照明を受けて金色に輝くティーワゴンを運んだ女給が入室してきた。


梅の花の図案が可愛らしい純銀のティーセット、サンドイッチや洋菓子やケーキを載せた硝子ガラスのケーキスタンドを載せたワゴンに、茉尋の瞳には感動的な喜びの光輝こうきが点じた。


西洋の茶文化の優雅さにめかされていくテーブルに夢中になる茉尋がよほど可愛らしかったのか、春女殿下は


「こういうものに憧れていらっしゃるの?」


懇篤こんとくに目を細めてお尋ねになった。


妃殿下のお言葉、觜馬のからかうような視線もそうだが、なによりも貴悟殿下の


「そんな顔をなされないでください。気分は全く害されておりませんよ。むしろ、年相応のご反応がとても微笑ましかったのでね」


孫をなだめるような口調が、失態を犯したような心持ちの巫師を激しく赤面させた。





「公車とはいえ、ずいぶんと時間が掛かるものよね。技官の方にもくつろいでいって頂きたかったわ」


テーブルを隔てた長椅子にお掛けになる春女殿下が、貴悟殿下にも茉尋と觜馬にも話している風におっしゃった。


春女様のお言葉通り、通常ならば技官も同様にもてなされ、〈対武職たいむしょく〉の任務が完遂かんすいするまで同行し、護衛の役目を受け持つものだ。


その際は、従事者を護衛できるほどの能力を持つ技官が選ばれる。


しかし、守護人がいる場合は、技官が現地にとどまる必要はない。

そのため、茉尋のように〈対武職たいむしょく〉の従事者を送れば、朝廷に戻る方針をとっている。


しばらくの間、他愛もない日常的な会話に花を咲かせていた四人だったが、ちょうど切りの良い所で、觜馬は茶を飲み干し、改って、


「静養宮に起こる怪奇現象について、もうそろそろご確認させていただいてもよろしいでしょうか?」


と、生真面目に本題に話を移行させた。


「はい。お願いいたします」


先ほどまでの柔らかな幸福感に温まっていた雰囲気を、きりりと引き締める両殿下の真剣な面持ちに、茉尋も掌を爪に食い込ませて背筋を伸ばす。


「すでに朝廷からの事前報告がありましたでしょうが、静養宮に発生する怪奇現象についてのご確認をさせていただきます」


懐から取り出した太炎華たいえんげ[※4]の緻密な模様が掘られた文書函ぶんしょかん[※5]の箱を開け、確認文書をテーブルにひろげ、觜馬は論理的に続ける。


「はい」


怪奇現象、という一語に微塵も動揺せず、骨のある声遣こえづかいで貴悟殿下はお答えになった。


文書に記された怪奇現象の具体的な内容は



いち  夜から夜明け前にかけて、硝子窓を引っ掻くような怪奇音が聞こえる。


  同一の部屋が無限に続いていたり、扉を開けた先が外になっているなど、部屋の間取りが変化している。


さん  使用人の中で、体調不良者が続出している。また、専属の医師の診せたが、特に肉体的な異常は見られなかった。



……の三通りと、かなり多めだ。


通常ならば、現象が一度に多く生ずる事などはありえない。


よほどの強力な負の感情を秘めた生霊が複数人いる、や、異形の数が多い、その例外を除けば……。


茉尋は固唾かたずを飲んだ。


「これで間違いはございませんか。この三つのうち、いずれかが顕著化しておりますか?他にまた、特異な現象が発生しましたか?」


四角四面な態度で、觜馬は質問を重ねに重ねた。


原因解明のためには、執拗なほどに同一の質問を繰り返さなければならない。


些末さまつな情報の誤差でさえも、後々取り返しのつかぬ事態に発展しかねないからだ。


「ううん、そういえば最近は特に、怪奇音が顕著になっておる気がしますな。……ああ、どうぞ巫師様。冷めぬうちにお呑みください」


貴悟殿下にすすめられ、茉尋はティーカップの中で湯気を立てている茶を口に運んだ。


雨津邦原産のものだろう。

柑橘類の上品な甘酸っぱい美味と芳香ほうこうが、茉尋の体の内を満たして温めていく。


「怪奇音が顕著、ですか。それは、両殿下のご寝室ですか?」


「寝室もまあそうなんですがね、どちらかというと、御座所や書斎が多いですかなあ……」


「あなた。少しだけ、私もお話させて頂いてよろしいかしら?」


春女殿下が途中、貴悟殿下に断りを入れられた。


言葉遣いや声音こそ品性の高い柔和さがあったが、いかんせん神妙なご表情をしておられたので、茉尋は春女殿下のうちに潜む、何かしらの影を読んだ。


「ああ、構わない。話しなさい」 


「ありがとうございます。……〈守護人しゅごにん〉様、怪奇音が顕著化しているということは、先ほどの通りでございます。ですが、何と申しましょうか、何者かからの視線を感じるようにもなりまして……」


「視線?」


觜馬は柳のような眉をやや険しく寄せて、春女殿下のお言葉の一節を復唱した。


「はい。視線でございます。もしかすると、単なる錯覚という可能性も大いにしてありますが……」


「それでも、実感があるのでしょう。可能な限りで問題ありませんので、具体的なご説明をお願い申し上げます」


深刻さのために、觜馬の声音は半音ほど低まった。


春女殿下によるご説明は、以下の通りである。



最初に視線を感じるようになったのは、昨年の秋聡祭しゅうそうさい―――現大皇のご誕生日を祝う祝祭の事―――の秋の晩方だった。


秋聡祭が終わり、貴悟殿下と春女殿下が専用自動車に乗り静養宮へ向かう道中。


凄まじい怨嗟えんさの籠もった視線が、撃ち抜くような衝撃を以て春女殿下の体内にほとばしったと言う。


疲労による錯覚かと、このときは大して気にせずに、甥の成長の喜びを貴悟殿下と共に話されるうち、視線の事を意識されなくなり、いつしか記憶から消え去っていた。


しかし、次の日の夜。


またしても同じ視線を感じるようになられた。


しかもその時は、春女殿下だけでなく、貴悟殿下も同様に鋭利な何かを実感されたらしい。


その視線の激しさは、日を追うごとに助長じょちょうされ、最近では視線の感覚が御寝ぎょしんの折にも伝わり、不穏な夢を見る頻度までもが急増した。


また、夢の内容は同一で、具体的な内容を鮮明にありありと記憶してまでおられるのだという。


………。


「具体的に教えて頂けますか、夢の内容を」


觜馬は続けた。


同じ夢を見るなどという事は現実的ではない。


確実に何かしらの実在が一定の夢を見せるよう操作しているという予想が、茉尋にもついた。


「はい。巨大な体躯の龍に、数多の翼を生やした無数の目が並ぶ獣を率いる大軍が激闘を繰り広げている夢でございます。 周囲は炎が燃え盛り、上昇する黒煙が空を覆い尽くしておりました。 龍は大軍に獣の刃物のような牙に、やがて噛み裂かれ、赤黒い肉が当たりに飛び散っておりました。 その鮮血がおびただしい傷口に、大軍の兵士が容赦なく放った矢が突き刺さり、龍は鬼の咆哮のような悲鳴を上げ、倒れ、やがて原型を留めず、……腐敗していきました」


……なんと猟奇的で凄惨せいさん極まりない夢であろう。


茉尋は残虐を最も恐怖する人となりのゆえ、悪心おしんと寒気に耐えながら、春女殿下のお話に耳を傾けねばならなかった。


「ご回答、ありがとうございます」


觜馬がそう言った瞬間、突然怒号を飛ばされたような恐怖を伴う感覚が茉尋を襲った。


弾けるように椅子から立ち上がり、〈聖具せいぐ〉の一種の剣〈神剣しんけん〉を〈虚空〉から呼び寄せた。


「巫師様、どうなされましたか!?」


貴悟殿下のご質問に答えず、茉尋は觜馬に目配せをする。


「怪異です! 〈護式ごしき〉を作るんで、動かないでください!」


言い終わらぬうちに、觜馬は両殿下の方に緻密な呪符を書いた菱形の紙を数枚放った。


煩雑はんざつな画数を特徴とする〈護式〉の文字が内側に浮遊する半円状のドームが、両殿下の周囲に形成される。


と、金属音に似た、空気をつんざくような怒号が近付き、窓硝子まどガラスを叩き割って、御座所の中に黒々とした物体が侵入してきた。


室内に暴風が吹き荒れる。


目が開けられない。


ふと、茉尋の足首に絡みつき、落下していくような感覚が彼女の全身を震わす。


状況を確かめたいが、暴風のせいで瞼を開けられぬ。


「嬢様」


觜馬の声とともに黒一色の眼前に、光が灯るようにして光景が浮かんできた。


風のために引っくり返る調度品、蝶番ちょうつがいが破壊されたドア、凄まじく揺れるシャンデリア。


そして、蛇のような物体がうねり、足元にどす黒い穴を作っているのが分かった。


茉尋が足に絡むそれを〈神剣〉で断ち切った直後、暴風は収まり、御座所には再び静寂が戻った。


眼前の映像が消え、目を開けた茉尋の視線の先には、二人の突然な変貌ぶりに理解が追いつかないといった表情で目を見開かれる御夫妻のお姿があった。


「驚かせてしまい、誠に申し訳ありませんでした」


觜馬は警官のような沈着冷静さで謝罪する。


「いいや、それは構いませぬが、〈護式〉……そして、あの空間に浮かんだ数々の字は一体……?」


〈護式〉という概念を存じ上げぬ貴悟殿下は、一語一語を強調するような口調で問われた。


「〈護式〉は、怪異から人を守るための式神であり、最も強い霊力を秘める術式です。 あの空間の中の字は、怪異から身を守る特別な力を有しております」


「突然、剣を巫師様が取り出されましたが……」


「あれは〈対武職〉従事者が扱う武器の一種、〈聖具〉の〈神剣〉です」


「……あの黒いものは……」


「殿下、視線の正体は恐らく先ほどのあれになります」


確信を示して述べた觜馬の言葉には、天帝のような威厳さが備わっていた。






※1 公車……陽向神国の〈対武職〉従事者が乗車する朝廷所有の特別専用自動車。

技官なる役職が運転し、従事者を怪異発生現地にまで連れて行く役割を担う。

「公」は国家ないしは政府などの非民間機関に関連する意。


※2 技官……朝廷官職のうち、主に機械技術の操縦の区分の業務を担当する者。

また、当名称の使用に関して作中においては、職務の幅は公車の運転を行う人間に対してのみに限定される。


※3 迎人……皇族に仕える使用人のうち、主に来賓者や政府高官の迎賓を勤める職務。


※4太炎華……架空の花。紅蓮の色素と天空に登るようにして開く花弁が炎を上げて燃え盛る大火を連想させる為、厄除けの象徴と信仰の対象になっている。


※5 文書函……怪異にまつわる情報をまとめた文書を仕舞う箱。

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