昨年は格別のご厚誼にあずかり

今後とも変わらぬ■■■のほどお願い申し上げます

　元日の朝、いつもなら居留守を使って出ずに済ませる実家に残してきた兄からの電話にうっかり出てしまったため、おざなりな年始の挨拶を嫌々ながら交わし陰気な上に変わり映えのしない雑談を聞き流しているうちに元気でやっているか仕事は大変だろうそろそろこっちに帰ってきたらどうだと聞き飽きた懇願が始まったことにうんざりして、今年の盆は帰るからと告げて電話を一方的に切る。

　盆くらいは帰ってやるよ、と独りごちてから、そもそも兄は去年の秋にひっそりと実家の裏庭で首を括ったという事実と今年の盆とはつまり兄の初盆なのだということを思い出した。