ブルーヘル



 BLUE HELL、青い地獄の回です。こんにちは。

 タイトルだけ見たらなんのこっちゃ? ですよね、すみません。

 ご存知の方は……ほくそ笑んでいてください。笑


 さて、近況報告でもSNSでも何度も告知させていただいておりますが、ありがたいことに2024年11月にアルファポリス様より商業デビューさせていただくことになりました。わー! 未だに信じられません。

『便利屋ブルーヘブン、営業中。〜そのお困りごと、大天狗と鬼が解決します〜』

 というキャラ文芸ジャンルでのデビューとなりました。たくさん応援いただきましたお陰です。本当にありがとうございます!!


 そこで、この機会に書籍化作業の際気をつけたことを、備忘録兼ねてエッセイにしよう! と思い立ったのが今回になります。(たまには、創作論みたいなのを……汗)

 

 ジャンルによって様々な違いがあると思いますので、「へーそうなんだー、ふーん」くらいに思っていただければと思います。こちらに書かれた内容は、すべてわたくしの執筆の仕方や個人的作業の内容となりますので、出版社様とは無関係ですこと、あらかじめご了承ください。


 本日のアジェンダは以下の通りです。(だらだらしちゃうから)

 

 1.キャラの作り方

 2.プロットの作り方

 3.書籍化にあたって気をつけたこと

 4.これから何を書く?


 よろしくお願いいたします。


   ◇


 1.キャラの作り方

 

 さて、今回ブルヘブがカテゴライズされたキャラ文芸というのは、アルファポリス様の定義で

『一般的な文芸小説とは異なり、主人公やその周囲を取り巻く登場人物のキャラクター像が漫画やアニメのように個性的で、また、舞台設定に特徴のある小説ジャンルを「キャラ文芸」として定義しました』

 です。

 魅力的なキャラを作れていたら嬉しいです。

 

 わたくしがキャラクターを作る時、大体ストーリーが先に決まっています。これは、世界観を作るのが好きだからですね。

 異世界恋愛はほぼテンプレだとしても、その国独自の文化や、隣国とのパワーバランスなど考えた上で主人公に何をさせたいかを考えます。

 『困難な状況から、ヒーローが現れて、努力が報われる』という王道だとしても、数え切れないくらいのWEB小説がある中で読もうと思っていただけるにはと考えると、やはり作者独自の個性が必要ではないかと思っています。

 ただし個性を追い求めると、行動が伴わなくなるというのが一番注意しなくてはならない点じゃないかなというのが、私の意見です。

 

 具体的には;

1 主人公や主要キャラは、キャラ同士のコミュニケーションや事件などによって、主張が変わっても、性格は変わらない。

2 信条を変えるほどの何かがあるとすると、その何かには相応の説得力を持たせる必要がある。

3 目的をブレさせない。


 です。

 1は、例として異世界ファンタジーを挙げると……おとなしくて、パーティの後ろでもじもじしていたキャラが、いきなり最前線で戦い始めたらハァ? てなりませんか。たとえ『強くなりたい!』と願っていたとしても、無理があります。ですが、生まれ育った村が襲われている。大好きな人が大ピンチ。なら納得できたりしますよね。で、勝ったからといって次からはガンガン戦えるかと思えばそうではない。あれはあの時だけだった、じゃないと「おとなしい」という性格づけが活きてこないです。『天弓のシュカ』を書いた時、主人公は勇者の生まれ変わりなのですが、彼は世界を俯瞰で見ているのでいつも一歩引いていて、積極的にバトルしないのです。これは最後まで貫き通しました。


 2は、今まで闇魔法を悪と定義していたのに、実はそうではなかったとする場合。これは『転生悪役令嬢の、男装事変』で書きました。主人公は悪役で闇魔法使いなんですが、聖女と友達になる。誰も死なせないどころか、必死で助けていくんです。それを見守っている人々が、考えを変えていく。行動を共にすること、実際に目にする事象でもって、周囲の価値観を変えていくことを意識しました。最後には「黒魔女」じゃなくて「黒聖女」になったというのが、あの世界での「事変」です。


 3が、一番気をつけないとなりません。これは自戒です。『天使くん、バイバイ!』という青春モノを書いた時に、主人公は「無個性で目立たず、人に不信感を持っていて、目的もなかった」男子高校生でした。これがいきなり「よし、僕がクラスで活躍するぞ!」「彼女作るぞ!」となると変です。あくまでも「目的を作ること」が目的。これが意外とできていなくて、どうしてそうなった? となること、多いです。そうなると、読後感もよくなくて。えーっとハピエンでよかったけど、ふわふわしてんね? になりがちです。一本通ったテーマで書かないと、読後なにも残らない、と個人的には思います。

 

 目の色や髪の色、口癖や仕草、種族や服装。

 キャラの個性を際立たせるにはいろいろな見た目も大事ですが、こういう内面も気をつければより深みが増すのではないかな? と思っています。


   ◇

 

 2.プロットの作り方


 SNSをぼうっと眺めていると「プロットなんて不要だぜ」論を時々見かけます。

 これを否定したり批判する気はないです。

 わたくし個人のスタンスは、「作れるなら、作った方が良い」です。

 なぜなら、物語のテーマや軸がブレてるな? という感覚を取り戻すのに非常に役に立つからです。ほら、なんとなくエピソードごとの文字数で全体ボリュームつかめますし。


 とはいえ、プロットなしでも平気です。

 実際『コワカワ皇太子』は構想ゼロ・ノープラン・ノープロットで書きました。脳内に蓄積されている財産だけで書くっていうのも、程よい気分転換になって良いですよね。


 じゃあ具体的にどうやって作っているのか、と問われると、以下の要素で作っています。


 『テーマ』『主人公の心境変化』『ターゲット読者』

 

 誰もが無料で読めるフィールドに作品を発表するのだから、自分が書きたいものを書きたいように書く、で良いと思います。

 けれどわたくし個人的には、せっかく書いたんだから、読まれたい。なのでこの三本柱は常に意識しています。


『後宮の黒姫は冥門に微睡む(リメイク版:救国の黒姫は瑠璃の夢に微睡む)』という作品を例に挙げると

 テーマ:天涯孤独な少女が、愛する人や仲間たちと出会い、幸せになっていく

 主人公の心境変化:自分には何もない→親から継承された力があるのなら、正しく受け継ごう→愛する人々のために、活かしたい

 ターゲット読者:わたくしの読者様は、異世界恋愛をお好みの方が多いため、普段和風を読み慣れていない読者様にも楽しんでいただく

 でした。


 これらを元に起承転結でストーリーを組み上げます。天涯孤独とはいっても命の危機が多々あるので、じゃあ最初からさりげなく付き添っている仲間とか必要だよね……みたいな感じです(驚いていただけましたよね)。

 ちなみに伏線を置いて回収するうちに驚くべき事実が! っていうのが好きなのですけれど、伏線を張る時あんまりちゃんと決めていません。ここで置いて、後からなんとかするってパターン。絶対におすすめしません。エンゾの『時の魔女の水晶玉』だって、これっぽっちもなーーーーんにも考えてませんでしたからね。恐ろしい。

 

   ◇


 3.書く時気をつけていること


 今回書籍化していただいた『便利屋ブルーヘブン、営業中。』ですが、もともとほっこり・じんわりな人情もので(コンテストの趣旨に合わせて書いたので)、これを長編にするのは本当に大変でした。そもそもが、短編連作でしたから。

 キャラは出来上がっていますので、前述したように作品テーマを決めて、プロットを立てて書き始めましたけれど、本当に大変でした。


 いつもと違って、商業クオリティを出せるか?


 が、両肩にドスンとね。マリオのドッスンなんて可愛いものですよね。毎日ドッスン、ドッスン……吐血しまくりですよね。ええ。ゴフゥ。

 じゃあどうやってクオリティを出すか。これはわたくしの感覚ですが、文庫本で手に取った時、章ごとに読む・一気に全部読む、どちらかだと思うんですよね。急用が入ったり電話きたり寝落ちしたりで、本人の意思と関係なく途中でしおり挟むことはあるかもしれませんけれど。基本はキリの良いところまでだーっとまとめて読みませんか?

 WEBと紙との大きな違いは、そこだと思っています。


 前述したキャラの性格や行動原理、テーマの一貫性は最低限クリアしている、プラスアルファで:

 ・エピソードごとの掴みとか、いらない。

 ・章のはじめから終わりまで、文字の上を目で追っていく時に、リズムや表現が引っかかってはいけない。

 ・脳内で鮮明に場面を再生できるよう、地の文でしっかり描写する

ことを意識しました。


 WEBだと地の文多かったら、即ブラウザバックされちゃいますもんね。

 でも紙の本を購入して読まれる方は、心理描写や情景描写がしっかりとなかったらなんのこっちゃ? となると思います。


 それから、普段から気をつけている技術的なことがあります。

 これはわたくしの弱点ですが、脳内の映画を文字起こしするタイプの物書きなので、主語を省きがち。視点ぶれがち。一場面でのネームドキャラ多すぎ。今何時でどこにいるのかは、ちゃんと書かないと伝わらないです。けれどもわたくしは『見えて』いるので、すこんと書くことを忘れがち。朝なの? 夕方なの? 暑いの? 寒いの? をかなり意図的に地の文に入れるようにしています。意識しないと、いきなりどっかに飛んで行ったことになってしまう。


 あとキャラの話にもつながりますけれど、大人気の書籍化作品でイラストレーター様のキャラクター表があって……でない限り、覚えられるキャラはそんな多くないです。一場面で、多くてせいぜい五人ぐらいまで。今誰が喋ってんの? てなるのが一番厳しい。いろいろな作品を読んで、会話文だけではやはり伝わらないものだな、と実感しています。髪の色と目の色が異なる騎士が十人ひしめいているのを想像してみてください。レナートとヨナターンとヤンに、ロランとオリヴェル、それからラドスラフにアーモスとボジェク。ボイドとアーチーの後始末のため〜なんて書かれてても、わかっているのは作者だけ。これが最も辛いですよね。笑


 かといって、ふたりだけのシーンが延々続くと、単調で飽きてしまう。特に恋愛もの。なぜずっと室内におるのだ? と個人的には思います。一緒に歩くだけでも、目に入るものが変わって変化が出ますし、新たな出会いを設けられて良いと思います。


   ◇


 4.これから何を書く?


 なんだか、一冊目出したら二冊目で悩む、というのがよく目に入ります。

 確かに、ようやく書籍化作家としてのスタートラインに立てたにすぎません。

 でもわたくしは、変わらないでいたいなあと思います。

 今まで通り、これ面白そうだな⁉︎ というお話を書き続けていられたら、幸せです。もちろん、それでまたどこかからお声がかかったらハッピー。

 今回のことで得た様々な経験は、地獄の苦しみ! と思うこともたくさんあったけれど、振り返れば楽しかったなあしか残っていません。せめて筆力上がったと信じたいですね笑


 さて、最後になりましたが、タイトルのブルーヘルは、実は『便利屋ブルーヘブン』最終章のタイトルなのです。執筆が地獄の苦しみだったことにかこつけて、宣伝を兼ねてみました。お許しくださいね。

 

 大天狗と鬼が挑んだ『青い地獄』の意味、ぜひ本編で確かめていただけたら嬉しいです。

 ありがとうございましたm(_ _)m

 

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スカー・フォー・リビング 卯崎瑛珠@溺愛コン受賞 @Ei_ju

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