身近な恐怖だからこそ「怖い」だけでは済まされない

——たとえば、よくある「呪い」。もちろん、その言葉を聞いただけでも恐ろしいですよね。しかし、どうしてそこに「怖い」という認識が生まれるのか、考えたことがあるでしょうか——?

本作は、霊感のある主人公がクラスメイトにブレスレットを配るとある女子転校生と出会うのをきっかけに、抑揚なく展開していきます。

目に見える怖さを「怖い」と思うのは当然のことでしょう。でも、日常生活にねっとりと溶け込み、のほほんと暮らしているだけではわからない実に身近な「隠れ恐怖」もあるのです。
それに気づいたときにはもう手遅れ、もはや「怖い」を通り越して「悍ましい」ものに見えるかもしれません。

背筋にひそかにピトッと寄り添うようなホラー短編、奇怪と不気味の渦へとじわじわ引き込まれるような傑作です。
ぜひ♪( ´▽`)

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