第39話 女の子の顔をそんなにジロジロ見ない!

 その後、みんなでカレーを作って、いっしょに食べた。


 カレーは野菜が多くて、うちのカレーには入ってない春菊やゴーヤーが意外とおいしかった。


 全国を飛び回っている夜野さんには農家の知り合いも多いらしくて

、お土産として全国の食べ物をもって帰ってくる。


 ちなみにボクは夜野カナタのことを夜野さんと呼んでいる。


 キュウタがセンセイと呼んでるから、ボクも真似しようかと最初は思った。


 でも、直接ヴァジュラについて教わっているのはキュウタなので、どうにも実感がわかない。


 落語家でいうと師匠の師匠、つまり大師匠みたいな感じなんだろうけど、夜野さんの振る舞いには威厳がまったくないので、どうにも緊張感がない。


 あの人もヴァジュラを使えるのだろうか?


 見えるってことは使えるってことだろうけど、どうにもそういう感じがしない。


 純粋な戦闘能力で言うとすごく弱そうで、キュウタはもちろん、ナツメさんにも負けそうだ。


「ただいま」


 テーブルでカレーを4人で食べていると、制服を着た幼い少女が入ってきた。


「おかえり。あっミチオくんははじめてだっけ」


「はい」


「紹介するよ。夜野コサメ。ボクの妹だ」


「はじめまして。布都野ミチオです」


「…はっ、はじめましてコサメです。兄がお世話になってます」


 コサメちゃんはコクンと頭を下げた。


 初対面の人間は苦手なのだろうか。


 どうにもよそよそしい。


 年はボクより下? 中学生に見えるけど年齢より幼くみえるタイプなのかもしれない。

 髪型は三編みでスカートの丈は膝を隠していて、メイクもしてないしネイルもつけてない。


 うちの学校の女子とはえらい違いだ。


 それにしても夜野さんの妹か。


 あんまり似てないな。


 年齢も一回りくらい離れてる。


「ミチオ君。女の子の顔をそんなにジロジロみない!」


 ナツメさんがボクに苦言を呈すと、コサメちゃんが顔をそむけた。


 自分では自覚がなかったが、コサメちゃんの顔を見てあれこれ考えてたのがバレたんだろう。


 少し恥ずかしい。


「ごまかさなくてもいいよ。実はいろいろ訳ありで」


「私…着替えてきます」


 コサメちゃんは自分の部屋に行った。


「そうなんですか」


 訳ありの意味はあえて聞かなかった。


 あれこれ考えてたことがバレたのが恥ずかしいってのもあったけど、家庭の事情について聞くのは違うと思ったからだ。


 数分後、私服に着替えたコサメちゃんが降りてきた。


 白いシャツに青い短パンだった。


 食べながら夜野さんとナツメさんはカレーに入れた具材の良し悪しについて喋っていて、時々、話題をボクに振った。


 ボクは家のカレーの話を少しして、野菜が思ったより食べやすいのと、カレーの味が濃くていいと答えた。


 コサメちゃんとキュウタは無言で食べていた。


 ナツメさんは少食のコサメちゃんに「もっと栄養をつけなさい」と言って、豚肉を多く盛っていた。


 血がつながってるのは夜野さんとコサメちゃんだけみたいだけど、4人を見ていると家族みたいだと思った。

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金剛閃輝ヴァジュランテ 或亜豊 @senki2022

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