月明りが照らす
皐月紫苑
影踊る
深夜、ふと目が覚める。
薄暗い部屋はカーテンの奥から月明りが照らしていた。
時計の針の音だけが静かに響く。
周辺の家も寝静まっているのだろう。
寝ぼけまなこで時間を確認すると2時を指している。
まだまだ寝る時間だ。
明日も早い、と目を閉じ意識を彼方へ飛ばす。
目が覚める。
暗い影がぽつんと部屋にある。
意識が落ちる。
目が覚める。
いびつな生き物のような影が広がる。
意識が落ちる。
目が覚める。
猿のような影が踊る。
まだ3時を迎えない。
意識を落とす。
目が覚める。
広く大きな影に覆いかぶされる。
意識を落とす。
目が覚める。
赤い光が部屋に射す。
影が踊る。
足音が鳴る。
どこからか動物の笑い声がする。
目を閉じる。
意識を落とす。
深く暗く願う。
ふと、目が覚めた。
時計の針は3時を迎えた。
光が閉ざされ、意識が落ちた。
目を覚ました。
朝日が射している。
鳥がチュンチュンと鳴いている。
遠くに聞こえるサイレンの音。
スッと、猫の影が消える。
すでに時間は6時半。
惨事は過ぎ去っていた。
月明りが照らす 皐月紫苑 @e-philadelphicus
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます