終わりがあるから安心できる

刹那的というか虚無的な大輔くんとの関係に惹かれるものがありました。主人公の諦念というか、マゾヒスト的というか、自壊的というか……危うげな生き方がたまらないです。「最低でかわいい男の世話をして一生を終えたい。」という欲求が切なくて、そのうえ可愛い。肌が汚くて毛むくじゃらの、だらしない男に人生をだめにされたい。ゆがんでいるかもしれないけど、なにか伝わってくるものがあり、“わかる”。主人公の内面的な葛藤や過去の経験等にはほとんど触れられず、大輔くんへの妄想だけが全面に出た話ですが、ふとした瞬間に主人公の心象も映し出されていて、その張り詰めた、今にも壊れてしまいそうな感覚が素敵でした。〈終わりのある〉から安心できる恋愛と、脱毛コースが重ね合わせられている、その発想が凄いです。