本作はミステリー小説ではないのだが、読み終えて最初に浮かんだ言葉は「ノックスの十戒」、あるいは「ヴァン・ダインの二十則」だった。作中のアシモフコードもそうだが、規則・原則・学説というものは、いずれどうしようもない壁にぶつかって、複数の例外を生み出すことになる。守るというも難しいが、破るというのも案外難しい。自らの手で論理を作り、解を出さなければならないからだ。そういう意味で、この作品は美しい。
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