第7話 エピローグ

「寄宿生活も楽しみですねレイラ様。名家の紋章入り馬車が揃ってましたし」

「気のせいか、私の事を敵視してる視線を多く感じるわ」

「あぁ。それは気のせいではありませんね」


 エヘヘと悪びれもなくリアが言うとレイラは肘で脇腹を小突いた。


「だって、レイラ様が1番可愛いですから、嫉妬の眼差しですよ」

「私には『成り上がりの男爵令嬢如きが来るんじゃない』って感じるわ」

「あぁ。確かに言われて見れば、そっちの方ですね。大丈夫です、リアが守りますから」


 グルっとリアは見渡すと見慣れたツインハーフがこちらへ向かってきた



「レ レレ レイラ」

「これはマリアディーネ様。ご無沙汰しております。マリアディーネ様も同じ寄宿学校なのですね」

「あ あっ 」

「あっ? 」


 レイラが小首を傾げると、マリアディーネはリアを一瞥した後にレイラの手を握った。


「ありがとう! 綺麗に洗ったから返すわ」


 レイラが手を広げると刺繍入りのハンカチだった。

 咄嗟にレイラはハンカチをリアから隠した。


「レイラ様。今のハンカチって、メアリーさんの事があった時にマリアディーネ様に貸した奴じゃ」

「そ そうよ」

「何でそんなに隠すんですか? 」


 レイラの顔が少しずつ赤くなっていくのをリアは感じた。


「別に隠してはないわよ」

「えぇ、隠したじゃないですか? 何の刺繍入れたんですか?? 」

「別になんだって良いでしょ。しつこいわよ。リアが騒ぐから、余計に冷たい視線を感じるじゃない」

「レイラ様のほうが声が大きかったですよ」

「もしもの為に、私から離れないように」

「それはもちろんレイラ様の仰せのままに」


 リアはレイラの腕を組もうとするも、すぐさま振りほどかれてしまった。


 「それは近づき過ぎ」

 「もう。レイラ様はワガママですね、そこも可愛いのですが」


 めげずにリアはレイラの手を握った。



 

 裕福な子女や令嬢が集まる華やかな寄宿生活。

 甘く切ない恋に友情、時には陰謀とレイラとリアの寄宿生活がいよいよ始まるのです。


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リリウム・ウィンクルム【短編】 ちーよー @bianconero

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