カボチャ農家のジャック

「おい! ジャック! 今年のカボチャはもうできたのか!」

「うるせぇ! 今やってるよ!」

 自身を怒鳴りつける声に怒鳴り返しながら男-ジャックは応える。いよいよハロウィンが近づくこの時期、ジャックは今年一番の忙しさを感じながら働いていた。

 彼は一抱えほどもある大きなカボチャをいくつも抱えてトラックに乗せる。

「おい! 乗せたぞ! 出発しろ!」

 運転手は「あいよ!」と声をかけ、エンジンをかける。ジャックは助手席に乗り込み、流れる景色をボーッと眺めていた。


 町に着き、店を広げていると何かおかしいことに気づいた。みな一様にカボチャを指差している。不思議に思って振り向くと、商品であるカボチャがいっせいにケタケタと笑い出したのだ。

 驚いたジャックは傍にいた友人のルシフェルに目の前のモノについて聞いた。すると彼は意外そうな顔をして笑い出した。

「何を言ってんだジャック! お前ん家のカボチャはこれだろ? だってお前は“ジャック・オ・ランタン”なんだから」

 彼こそかの有名な“ジャック・オ・ランタン”なのである。ジャックは今年こそ、このやかましいカボチャを育てたくないと思い、普通の種を植えたはずだった。しかし、生えてきたのはいつものおばけカボチャ。

 彼はカボチャに向けて一言大きく怒鳴った。

「やかましい!」

 今日も町は賑やかに、ハロウィンの夜は過ぎていく。


お題:10月(ハロウィン🎃)

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SS 柴深雪 @shiba_Daniel

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