SS
柴深雪
ポインセチア
今日こそ告白するぞと思って柄にもなく花束を買った。君に会う為に、君の為なんだ。
君を泣かせてばかりのあんな悪い男、早く忘れてしまえ。僕なら絶対に君を泣かせたりしない。本当だ。
君がいつもあいつを待っている喫茶店に着いた。店内を見回すとまだいないみたいだった。
コーヒーをひとつ頼んで君を待つ。約束の時間まであと少し。ふと、窓の外を見ると君の姿が見えた。声をかけようと思って席を立ったときだった。君が真っ赤な花束を抱えて泣いている。そんな、相手は誰だ! 雑踏に揉まれる君の隣に立つ男の姿が見えない。カッとなって店を飛び出すと、君の元へ向かっていた。隣の男に何か言ってやろうと目を向けると君はあいつと笑い合っていた。
町にはクリスマスソングが流れ、幸せそうな家族が僕のそばを通り抜ける。
あぁ、白いポインセチアじゃなくて赤にすればよかったな。僕に気づいた君が笑いかけてくれる。僕はきっと君のそのあどけない笑顔が忘れられない。
ポインセチア
赤:私の心は燃えている
白:慕われる人、あなたの祝福を祈る
お題:12月クリスマス
SS 柴深雪 @shiba_Daniel
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