最終話 推しは推せる時に押せ!
side:マリエール
なんという幸せ!
王国の英雄、ナタリア・ヴァイスハーフェン様に名前を覚えて頂けたなんて
もう死んでも、、、駄目駄目!
わたくしのバカアホマヌケトンチンカンの勘違い女!
ナタリア様にとって名前を覚える事など道端の小石を蹴飛ばすよりも簡単なのに
それにナタリア様健康長寿計画もまだ始まったばかり、死んでなど居られません!
それにしてもイエロードラゴンを真っ二つにしたナタリア様の剣捌きは、もはや芸術の域に達しておられます。
後で美術館の館長にナタリア様の剣技をどうにかして展示出来ないか相談に行かなくては!
「おーい、マリエールさーん、ちょっと良いかな?」
「えっ?!あっ、はい!なんでしょうかナタリア様!」
「第2騎士団にも物理攻撃アップの魔法をかけたの?」
「はい、余計な事だとは思ったのですが、このままでは夕食の時間までに魔物の殲滅が終わりそうに無かったものですから」
「そっ、そうだね、夕食の時間は大切だよね、アハハハ」
ナタリア様の素敵な笑顔を眺めていたら、魔物の殲滅に街の外に出ていた
マッシモ副団長と第2騎士団の皆様が戻って来たようです。
「はぁ~、疲れた。お嬢さんの魔法のお陰で粗方魔物は殲滅出来たよ、ありがとう。」
「マッシモ副団長と第2騎士団の皆様のお役に立てたのなら幸いで御座います。」
「おーいマッシモ、元気そうな見習い騎士と民兵は第1と第3騎士団の応援に行かせて良いか?」
「そうだな、既に魔物達は組織的な行動をしてないから今頃は殲滅しちまってるかもしれんが、念の為に向かわせてくれ」
「了解、それにしてもマッシモは凄く疲れてるように見えるけど、ミノタウルスに苦戦したの?」
「いや、ミノタウルスは瞬殺したんだが、お嬢さんにかけて貰った魔法のせいだ。強力な魔法だったからその分反動も凄いんだろう、団員達もその辺でバテてるよ、ナタリアは平気そうだな」
「反動ですか?私はなんともないですけど」
あ゛っ?!
いけない、ナタリア様には一定時間経過すると自動で発動する回復魔法を組み込んだのですけど
この魔法は使うのに相当な精神力が必要なので、他の皆様には使っていないのです。
このままでは、わたくしが嫌がらせで回復魔法を組み込まなかったと思われるかもしれません
それは絶対に回避しなければ!
「そうだ!皆様さえ良ければ夕食をご馳走させて頂けませんか?イエロードラゴンを倒して頂いたお礼と、魔物を殲滅したお祝いとして、勿論第2騎士団の皆様もご一緒に」
「お礼という事ならむしろ私がしたいよ、イエロードラゴンを倒せたのはマリエールさんの魔法のお陰なんだから」
「とっ、とととととんでも御座いません!ナタリア様にお礼をされるなど生涯の誉れではありますが、ここは是非わたくしにお礼をさせて下さいませ。
新しい調味料を手に入れましたので、牛肉を使った料理『すき焼き』などはいかがでしょう?」
「良いじゃないか♪やっぱ体を動かした後は牛肉を食わんとな!しかし、団員達も一緒となると牛肉の量が心配だな
誰かイエロードラゴンの肉を適当に切り出して来い、夕食はドラゴン肉だ♪」
「はっ!第2騎士団・ヘルマン班6名、只今よりドラゴン肉確保に向かいます!」
「任せたぞ!」
「あのマッシモ副団長、ドラゴンの肉を勝手に切り出して良いのですか?」
「構わんだろう、ドラゴンを倒したのはナタリアとお嬢さんだからどうするかの権利は2人にある。あっ?!勝手に部下を肉の確保に行かせちまったけど許してくれよ、ドラゴンの肉は高級な牛肉みたいだって人気なんだ」
「無料で肉が確保出来るならわたくしに反対する理由などありませんけど、ナタリア様は宜しかったのですか?」
「私も構わないよ、どうせドラゴンの死体は全部国が買い取るだろうから、この機会を逃すとドラゴン肉なんて食べられないと思うし」
「そういう事でしたら『すき焼き』以外にも『しゃぶしゃぶ』も作りましょうか」
「しゃぶしゃぶ?」
「はい、酸味のある『ぽん酢』という特製のタレでさっぱりと食べられる料理です。野菜も沢山食べる事が出来ますから、お肌にとても良いんですよ♪」
「それは女性に優しい料理という事かな?」
「はい♪お肌にもお腹にも優しい料理です!」
「ほぉほぉ、、、女性団員集合!」
「「「「「はっ!」」」」」
「これより我々は最重要任務、野菜の確保に向かう。他の騎士団員達も我々と同じように夕食の食材確保に来る事が予想されるが、王妃様の名のもとに殴ってでも奪う事を許す!行動開始!」
「「「「「うぉーーー!!」」」」」
ふふふっ
ナタリア様ったらとても楽しそうです♪
これを機会にナタリア様がわたくしのお勧めする料理を積極的に食べて頂けるようになれば
『ナタリア様美肌計画』を始める事が出来ます♪
勿論ナタリア様は今でも素晴らしく美しいお肌で御座いますが、わたくしがナタリア様の全ての食事を管理する事が出来れば
万が一にも『肌荒れ』や『吹き出物』などという女性の敵を出現させはしません!
しかしながら、人の力で出来る事には限界があるのも事実
やはりここは女神様から加護を貰うのが1番でしょう。
待っていて下さいナタリア様
あなたの為ならわたくしは女神様とだって交渉して見せますので!
やる事が増えてなかなかに忙しくなって来ましたけど、明日も明後日も明明後日も
ナタリア様の為に働けるというのはなんと楽しい日々なのでしょう♪
うふふっ
ふははははははははははははは、あはははははははははははははははははははははははは
完
婚約破棄された公爵令嬢は推しの為に生きる! 永倉伊織 @iori_nagakura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。