第16話 これで良いのか?
side:ナタリア・ヴァイスハーフェン
「なんじゃありゃー!!」
なっ、なんという事でしょう
イエロードラゴンが上空の見えない壁に頭から突っ込んだお陰で、顔が『めきょっ』と歪んでいるではありませんか!
まだ生きてはいますけど、予想外の事に相当なダメージを受けている様子が伺えます。
「おいナタリア!あれは結界だよな?」
「そうですね、そしてあの結界がドラゴンブレスを防いだのでしょう。」
「おいおい、そんなレベルの結界を張れる奴なんか騎士団にも近衛にも居ねぇだろ!」
「事前に準備をしておけば団長達なら可能でしょうけど、、、ちょっと待って下さい、ドラゴンブレスを防ぐという事はあの結界は聖属性?!」
ありえない!
あの一瞬で聖属性結界を張るなんて、しかも街全体を覆う規模ですよ!
しかしながらあの結界に流れる魔力、私は以前にも何処かで感じた事があるような、、、
「ナタリア様ぁー!御無事ですかぁー!」
今度は何?!
声のした方を見ると、街の大通りの真ん中をこちらに向かって走って来る少女が1人
あれは確か薄味屋の店員さんじゃないですか!
「お嬢さーん、ここは危険だから来ては駄目だぁー!」
「ナタリア様がドラゴンを倒せば危険は無くなります!今すぐ結界を解除するのでドラゴンをあの世に送ってやって下さいませ♪」
いやいやいや、お嬢さん簡単に言ってくれるけど、結界に引っ掛かってるドラゴンが
結界を解除してそのまま落ちて来るとしたら、場所は街の中央広場付近だろう
街の端の東門に居る私がどうやって一瞬でそこまで行くのさ
っていうかちょっと待ってよ、あのお嬢さんは結界を解除するって言った?
「えっと、お嬢さんが結界を張ったの?」
「はい、お節介を承知で結界を張らせて頂きました。ナタリア様のお邪魔になっていなければ良いのですが」
「邪魔っていうか結界のお陰で命拾いしたかな、お嬢さんは高名な魔術師か何かなの?」
「いえ、わたくしは薄味屋の店主でマリエールと申します。以後お見知りおきを」
「マリエールさんか、たぶん一生忘れないというか忘れられない名前になるだろうね」
「なっ、なななな、ナタリア様に名前をおおおおお覚えて頂けるなんて!はぁ~♪この世の春というのは今この瞬間の事を言うのですね♪」
「えぇーっと、マリエールさん良いかな?」
「えっ、あっ、はい!何で御座いましょうか!」
「結界を解除するのは私がイエロードラゴンの真下に行くまで待っていて欲しい」
「それには及びません、素早さアップ、筋力アップ、物理攻撃アップの魔法をかけますので、建物を足場にして、タン、タン、ターン!っという感じでイエロードラゴンに向かってジャンプして下さい」
「タン、タン、ターン?」
「はい♪そうしたら良きタイミングで結界を解除しますので、後はナタリア様の華麗な剣裁きで、イエロードラゴンを八つ裂きでも三枚下ろしでもお好きなように♪
では行きます、、はっ!さあどうぞ」
「いきなりどうぞと言われても、、、あれ?」
突然力が溢れて来て体も軽い♪
これなら行ける!
そもそも魔物はイエロードラゴンだけでは無いんです、弱ってるイエロードラゴンなどさっさと倒して外に出ている団長達の加勢をしなければ
建物を足場に、せーの
タン、、タン、、、ターン!
うわっ?!
凄いジャンプしてるー!
「スゲェー、ナタリアのやつ五階分くらいはジャンプしてるぞ!お嬢さんは魔法が得意なんだな♪騎士団に入らないか?」
「いえいえ、わたくしのような若輩者など邪魔になってしまいますから、、、あっ!結界解除っと」
良し!絶好のタイミングで結界が解除されてイエロードラゴンが落ちて来ました
「はぁぁっ!」
『スパッ』
えっ?
あまりにも手応えが無かったので一瞬何が起きたか理解出来ませんでしたけど、後ろを振り返ると
頭から尻尾まで綺麗に真っ二つになったイエロードラゴンが落下していく所でした
えぇーっと、素早さ、筋力、物理攻撃アップの魔法をかけて貰ったとはいえ、イエロードラゴンをこんなにあっさり倒せてしまって良いのだろうか(汗)
むしろこんなに強力な魔法をホイホイ連発するマリエールさんって、実は王国の秘密兵器だったりする?
とりあえずマッシモ達と合流する為に東門に戻って来たのだけど
「俺に続けぇー!」
「「「「「うぉーーーー!!」」」」」
東門から出て魔物の群れに突撃するマッシモと第2騎士団の後ろ姿が、、、
たぶんマリエールさんが第2騎士団の団員達にも物理攻撃アップの魔法をかけたんだろうなぁ
一般の団員達がミノタウルスの腕や足を斬り飛ばしてるのが見える
これもう、マリエールさんに全部お任せで良いんじゃない?
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。