第15話 ナタリアとマッシモ その2
side:ナタリア・ヴァイスハーフェン
ふぅ~
魔物との戦闘はこれまで幾度も経験していますが、緊張するのは今も昔も変わらず
むしろ今の方が緊張しているかもしれません、昔は私も若かったという事でしょうか(笑)
「そろそろだな」
マッシモの言葉で東門の前に並んでいた第2騎士団の団員達の顔が引き締まりました
私も彼等と一緒に外に出るタイミングを伺います。
防壁の上を見ると、そこには魔法使いと弓矢を持った兵達が配置されており既に攻撃を開始していて
耳を澄ますとかすかにハーピーの断末魔が聞こえます、ここからでは直接見る事は出来ませんが距離にして約100メートルでしょうか?
なかなか良い腕をしていますね♪
我々が外に出るタイミングはハーピーやセイレーンといった空を飛ぶ魔物を一掃した後でしょう
っ?!
この気配は、、、
「ナタリア!」
「分かっています!」
マッシモも突然現れた気配に驚きを隠せていません
それも当然でしょう、現状で1番強敵と思われるミノタウルスと比べて桁違いに強い気配が突然現れたのですから!
しかし何処から?
これほどの気配をさせているなら、姿は見えずとも感知出来たはず
気配遮断能力に特化した魔物?
私はマッシモと一緒に急いで櫓に登り周囲を確認しますが、これほどの気配をさせている魔物の姿がありません
しかし気配は確実に近付いて来ています!
上か?!
太陽の眩しさに目を細めながら確実に近付いて来る何かを懸命に探します
「ナタリア、太陽の中だ!」
マッシモに言われて太陽を見ると
「どうやらマッシモの予想が当たりましたね(汗)」
太陽に重なるようにして垂直に降りて来るのは、イエロードラゴン!
ドラゴン種には、イエロー、グリーン、ブルー、レッド、ホワイト、ブラック、ゴールド
といった種類が居ますが、総じて知能が高く人語を理解すると言われています。
奴が今回の魔物を率いて来た指揮官で間違い無いでしょう
イエロードラゴンを睨み付けていると、奴の口元に魔力が収束しているのを感じます
まさかドラゴンブレス?!
予めドラゴンの存在を知っていれば結界を張る事も出来ましたが今からでは無理です!
せめて団長達が居れば協力してドラゴンブレスの方向を変えるくらいは出来たのですが、私だけでは(汗)
くっ!
ドラゴンといえど私の剣が届きさえすれば、如何様にも出来るのに
『キュイーーーン』
「グァァァーーーーーー!!」
イエロードラゴンが放ったドラゴンブレスの閃光により、街が一瞬白い光に包まれた
「全員伏せろぉー!」
マッシモがドラゴンブレスから私を守るように覆い被さって来ます
まったくこんな時に他人を気遣ってどうするんですか、そもそもマッシモの体1つを犠牲にするだけで防げるようなドラゴンブレスなら恐れる事など無いでしょうに
でも一応お礼として今度、薄味屋の『醤油焼きそば』を差し入れしてあげましょう♪
「・・・」
「・・・」
「「あれ?」」
いつまでたってもドラゴンブレスが来ません
私とマッシモは思わず互いの顔を見ます、いつの間にかあの世に来ていた、という訳では無さそうですがいったい何が
「ゲギャッ?!」
むむっ!
今この場に居る全員が声の聞こえた方向に目を向けます、それはつまり上空!
「「「「「なっ?!」」」」」
「なんじゃありゃー!!」
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。