オネガイサマ

願いの思い

　オネガイサマへのお願いが今の世界を作ってしまった。

　屍のような化物が地上を闊歩し、人間を見つければ即座に彼らに食われ、オネガイサマのお腹に溜まっていく。

　彼らの正体が何かって？

　ふふっ、それは私にお願いした人間達だよ。

　お願いによって死んだ人達だよ。

　ほら、そこには優勝を願った青年がいる。

　あっ、あそこには人の旦那を奪って幸せを掴もうとした女もいる。

　あっちには食糧難の改善を願った女とそこに住んでいた村の人達もいるよ。

　この様はまさに百鬼夜行と言えるだろう。

　そんな中、オネガイサマの元に願いを告白しにきた人間がいた。

「お願いです！　みんなを元に戻してください！」

「元に？　あ〜そっか。いいよ〜」

　そう言うと、告白しにきたその人の首を打ち落とした。

　落ちた頭は泣いているような表情をしていた。

「これであなたもみんなと同じだから元通りだよね〜。ふふっ」

　こうして、人類は滅亡した。

　もしも、あなたの元にオネガイサマがやって来たら、あなたは何をお願いしますか？