最後の魔女

契約の箱と鍵


 滑稽だな――


 最後の魔女よ――

 やがては、この世界の覇王になる者だったのに……。


 お前は、覇王の継承の神器――「契約の箱と鍵」を手に入れたが、

 この世界すべての平和と平穏のために、みずからその正統性を放棄したいと、

 われ、聖女ジャンヌ・ダルクの前にひざまずいて誓った――、


 あの日の覚悟を忘れたのか?


 お前の身体に刻まれた怒りの記憶、苦しみの日々を……、

 何度も何度も解放されたいと願い、我に祈り続けてきた今までを、


 平和と平穏という言葉を偽善にして、

 この世界への復讐のために……、


 お前は、「契約の箱と鍵」を使用して、

 その中からイルミナティの正体を見つけた。


 そして、自らで封印して、

 再び放棄して、魔女の力で――、


「魔女の禁書」を書こうと思った。


 その結果――、

 数えきれない人たちが苦しんで、死んでしまい、

 それでも、お前は「魔女の禁書」を書き上げる決断をした。



 聖女ジャンヌ・ダルクさま――


 契約の箱の中には、希望は入っていないのです。

 あたしは、イルミナティには騙されません。


 だから、禁書を書き上げたのです。


 禁書こそが、これからを生きる人類の希望――、

 必ず、人類をイルミナティに屈しない未来へと導いてくれるはずです。


 最後の魔女が生きた意味です。

 生き続けた記録です……。



 これで……、

 あたしも……、


 あたしは、■■ることができる。





 西暦2025年4月1日


 新子トモカ





 了








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【新約外伝】あたしと先生の異世界転生 橙ともん @daidaitomon

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