実に重たく切実な問題に取り組んだ作品。テーマはタイトルの通りです。それでも不必要な笑いなどで誤魔化すことはせず、正面から取り組んだ誠実な意欲作。作者に深い敬意を表したくなります。
それでもSFですので、安心して読めて、しかも、テンポがよいので読みやすいです。
重たいテーマでも内容が過度に重くならないように配慮されているところに作者さんの技量を感じます。
学生さんは学校などでもこういった設問を投げられることが多いのでは。答えではないでしょうが、ヒントとして、本作を読んでみられては。お子さんのおられる方も、勧めてみてよい作品かと思います。
まずはクリックして目を通してみて下さい!
誰もが一度は考え、そしてどこかで諦めたことのある題材、世界から戦争をなくす方法に関する話。
大切な人を失い、争いに憎しみを抱く主人公・悠は財力と自身の頭を使って、戦争根絶の方法を導こうとしますが……
この作品を読んだ際の「やりきれなさ」は何ともです。
暗い時代、時代の「冬」の象徴として、戦争は必ずあがってきます。
「世界が平和になってほしい?」と尋ねるなら、よほどのことがなければ、誰もが願うでしょう。
しかし、同時に「それは無理だ」と思う自分もいるし、
何よりも「実現した後の世界には一体何があるのか?」と疑問を抱いている。
客観と主観、理想と現実、それらを平易に示した短編ともいえます。