これは、恋を諦めた青年と、恋を知らない機械人形の、純愛の物語

人類が様々な情報を共有(シェア)する、いつかの未来。
それを運営するのは、世界の空を回遊する一体の万能量子コンピューターにて構成されたAI、セカイノクジラ。
そのセカイノクジラが企画する多人数参加型の鬼ごっこ、『ネバーランドゲーム』。
それに主人公・レイヤが参加する事となった。
彼の役はピーター・パン。
他の参加者から逃げる役なのだが、ゲームに勝てば一生遊んで暮らせる権利が得られるというもの。
その補佐役のティンカー・ベルは、女性型機械人形(オートマタ)・クジラコだった。

社畜であるレイヤは、過去の失恋を引きずりながら日々の生活に追われていました。
そこに、ピーター・パン当選の知らせが。
これはもう、一攫千金のチャンス。
負けたとしても特にリスクもないので、レイヤは参加を決意します。

それでは、一週間の鬼ごっこスタート!のはずだったのですが、補佐役のティンカー・ベルがおらず、レイヤは特技のパルクールを駆使し、孤独な戦いへ。
しかしすぐにピンチが訪れます。
その時、クジラコちゃんが現れます。
この登場の仕方がかっこいいのですよ!
まさに運命を感じるぐらい、彼女の姿が鮮明に浮かんできます。

そんなクジラコちゃんなのですが、クールな見た目と違い、天然なのです。
そこがまた可愛いのですが、どうやら他のティンカー・ベルと何かが違うようで……。

クジラコちゃんの謎に迫る時、この世界の事情も明らかになっていきます。
その時、この作品は現実にも起こり得る未来のひとつとして、心に残るものになると思います。

そしてレイヤも、様々な人達との交流を経て、成長していきます。
その中で育まれたもの。
それはまさしく、恋以外の何ものでもないと、読まれた皆様は思う事になるでしょう。

青年と機械人形の恋の行方はどうなるのか?
この結末に、驚かない方はいないでしょう。
時に明るく、時に哀しく、そして、それぞれの想いを強く感じるこちらの作品。
涙を拭くものを準備して、最後まで見届けて下さいね。

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