あとがき
どうも、沖田ねてるです。ここまで『セカイノクジラのType ZERO』を読んでいただき、ありがとうございました。せっかくですので、この物語の裏話でも。
今回は、私の初めての長編SF作品となりました。思い立ったのは昨年の何処か。ラノベの公募をメインとしている私ですが、色んなジャンルを書き散らしても良いのはアマチュアの今だけかなー、と思いまして。
ガ●ンダムも未履修で、SFなんてスターウォ●ーズ以外にあまり傾倒していなかった私が、とりあえずやってみようの精神で始めたのを覚えております。
まずはSF小説に触れてみよう、ということで古典と言われている有名なSF小説を三冊ほど購入して読書。その後はちょうどアニメをやっていたガ●ンダムの水星●の魔女を観つつ、本作の内容を練っていきました。
SFをやるに当たって考えていたのが、今回のようなコンピューターに関連するもの。元々大学でソフトウェア関係の勉強をしていましたので、やるならこの辺かなと。
そうして思いついたのが、セカイノクジラという超巨大AIに管理された近未来のお話。これはTwitterで、空に大きなクジラが泳いでいるイラストを目にしたことから、着想を得ました。
加えて昔、小学校の教科書で『くじらぐ●も』という話があったのを思い出しまして。空に大きなクジラが泳いでいる姿を鮮明に想像できた私は、セカイノクジラを考え付きました。
「しかし話はどうしようか。AIの支配に反抗するストーリーとか、あり触れてそうだし……」
合わせて思いついていたのは、トム・クルーズ主演の映画『マイ●ノリティリポート』のような世界観。あれは予知能力による犯罪の取り締まりの話でしたが、そのままでは二番煎じ。
「でも主人公が街中の人から追われる感じの話が良いなあ」
と思ってYouTubeを観ていた時に、とあるチャンネルにて『今後はAIがYouTuberになったり、漫画や小説、イラストを提供してくれる時代になるかもしれない』という発言を聞きつける。
「これだッ!!!」
一瞬で火が点いた私は、AIが生活を管理し、娯楽の提供によって人を管理しているという世界観に決めました。主人公が追われるのはそういうゲームだから、という理由付けもできましたね。
これが後のネバーランドゲームになりますが、初稿を確認してみたら、当初はクジラゲームというゲーム名で、ティンカー・ベルもサポートAIという、面白みもへったくれもない名前でしたね。
「ゲームにするのは良いにしても、それだけの話じゃ盛り上がらなさそうだしなあ……ラブコメにするか」
そのままストーリーを組み始めた私は、AIと結婚した人のお話などから更に要素を追加していき。失ってしまったヒロインを取り戻す為にその身を持って無謀な挑戦に挑む主人公、というラストのシーンを思いついたことで、現在のストーリーへとまとめていきました。
クジラゲームもピーターパンの要素を足すことを途中で思いついて、名称変更。とあるネット記事を読んだ影響で、サブスクリプションが生活レベルで浸透している世界へと更に変更。
タイトルにしたのは、セカイノクジラが造った三人の
ラノベちっくにするなら一部は英語でも良いなと思い、結果としてこのような物語となりました。
今回の執筆は後から後から継ぎ足していき、時には骨格を変更しながら書き直すという新しいやり方になりました。お陰で、初稿とWebに投稿した物語は、かなり異なった形となっております。
最初の十万字をほとんど書き直した形でしたけど、これはこれで楽しかったなあ。二度手間という感じもありましたけど、とりあえず最初に自分の中に湧いたものを全部出し切ってから考え直したい、という意識でした。
ここからは各キャラクターについて。まずは主人公のレイヤ君。向こうもこっちのことが好きなんだろうと余裕ぶっこいていたら、
彼のイメージは、一般人。そこまで癖が強くない、読者と目線が同じの語り手キャラを意識していました。彼の低身長褐色肌灰色髪は、Twitterで見たイラストの影響です。
まあ、世界中の人種の遺伝子を混ぜ混ぜしてできた彼ですから、褐色肌でもおかしくないですよね。低身長なのは高身長であるクジラコとの対比と共に、ヒューマンストレージの小型化を目指したセカイノクジラの試みの結果であるという、語られていない裏設定もあったりします。
結果的には振り回されっぱなしで、二度目の恋すらも取りこぼしてしまった彼。実は彼自身も
逃げるシーンに華がなかったので、パルクールを途中で思いつき。連鎖的に最後の核爆発からパルクールで逃げるシーンへと繋がったのは、良かったと思ってます。
やらせたかったのが、メインヒロインであるクジラコのデータ復旧の為に、数多の悪意に晒されながらも断片を拾い集め続けるというラスト。
失ってしまった好きな女の子の為に命をかける、という王道主人公ムーブ。うーん。これですよ、これ。主人公はこうでないと(という勝手な感想)。
次に、メインヒロインのクジラコ。身長二メートルの
クジラの子なら大きいに決まってる、という安直な思いつきで作った彼女。半目無表情の癖に感情豊かで、恋愛経験がないが故にレイヤに対して一途に想いを伝えてくれる彼女。奥手なレイヤとの対比でもあった為に、彼女には積極的にアプローチしてもらいました。
実際には
長身女子は良いぞ。みんなも長身女子を愛でよう。って言うか、身長二メートルのヒロインなんておらんやろとドヤっていたら、ジャン●プ+で身長八メートルの女の子がヒロインの漫画が連載してまして。
「は、発想のスケールで負けた……」
と強烈な敗北感を覚えたのも、今では良い思い出です。後付けでティンカー・ベルという設定を思いついた時は、「全然ティンカー・ベルっぽくないけど、だがそれが良い」と開き直ったのもあったなあ。
次に、忍者を目指す女の子、ヨイチ。彼女はネバーランドゲームの各設定やルールを、身体を張って教えてくれる説明役兼コメディリリーフとして、登場してもらいました。結果としてはレイヤを師匠と慕ってくれる後輩キャラとなりましたが、実は彼女、二回ほどキャラチェンジをしております。
最初はネバーランドゲームをライブ実況する動画配信者。次はレイヤと考え方が鏡写しのように似ている、恋愛奥手な女の子と、初稿、第二稿では今と全く異なるキャラクターとなっていました。
ゲームの設定内容を面白おかしく紹介してくれたり。逆にレイヤと急接近して、レイヤ自身に恋ってこうしなきゃいけなかったのか、と教えてくれたりする感じを考えていましたが、
「笑いが足りん」
そう思いつつ、最初のレイヤが街中の人からパルクールで逃げるシーンで「忍者かあいつはッ!?」という驚き方をモブにさせてたことを再発見しまして。これ使えるやん、と今の形に落ち着きました。
結果。
「拙者は忍者になるのでござるッ! 師匠ッ!」
と元気いっぱいで、見てて楽しい子になってくれたと、今では思っております。
最後に、レイヤの後悔の象徴でもある彼女、コトワリ。十作品以上長編を書いてきておきながら、まだ二人目という幼馴染キャラ。彼女とレイヤの恋は拗れさせることに決めていたので、ノリノリで話を考えていたのを覚えております。
その結果。自分から好きだと絶対に言わないけど、それに近いギリギリを攻めて絶対にお前に好きだと言わせる系女子、というキャラクターになりました。
「一言言えば済む話だろォォォッ!?」
と自分でツッコミを入れながら、観覧車でのシーンを書いていたのを、よく覚えております。恋愛下手で面倒くさい女の子、とでも言いましょうか。
評価は分かれそうな子ですが、割と自分で書いたことのないキャラクターになったので、個人的には大満足でした。
こんな作品でしたが、皆さま楽しんでいただけたでしょうか。この物語は、一度ここで完結とさせていただきます。
というのも私が最近、ラノベの公募の関係を頑張りたいと思ってまして。一つの作品を長くやるというよりは、このくらいの長さの作品をたくさん作って新人賞にぶん投げたいと思っているからです。
最近はネットで公開していてもオッケーなレーベルも多く、PV数による反響や皆さまの感想なんかを見てから更に改稿し、改めて新人賞に出せるということで、なかなか助かっております。いつかデビューしたいなぁ……。
そんな私の次回作の仮タイトルは、こちら。
『薔薇百合トランスフォーメーション』
久しぶりのTSモノッ! 加えて、最近は女の子のバディというか、歯に衣着せぬ言い方をすれば百合っぽいお話が盛り上がりを見せていますので、ヒロインも当然女の子。
何? 元女の子と女の子じゃ百合にはならないって? ご心配なく。その辺も設定組みましたので(ちゃんと組んだとは言ってない)。考えるな、感じましょう。
こんな私ですが、今後ともよろしくお願いいたします。以下に過去作品も置いておきますので、興味のある方は是非是非。
以上、沖田ねてるでした。それでは。
ーωー
(掲載順)
●ダレカノツゴウ ~勝手に異世界召喚で魔王にされたけど私は士官学校で青春したい~
https://kakuyomu.jp/works/1177354055086829151
●ウィッチドライブ ~女の子と事故って魔法少女になり身体の相性が良いから働かされてるんだけど俺はこれを許すべきか? 契約したからもう遅いわよ~
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●異世界に転生してステータスを開いたらキェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!! 俺とステータスちゃんと行く土下座珍道中
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●三十路の彼と幼い彼女 ~彼らは異世界行商人~
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●異世界に飛ばされた俺っちは邪神と超越者と二股しないと死ぬ ~あんまりだろこれ~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862823382591
●アイムジェニファー!
セカイノクジラのType ZERO 沖田ねてる @okita_neteru
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