エピローグ

 私はひとりで結婚式場に向かった。

 ウエディングドレスの写真を撮ってもらったけれど、もうすでに涙が溢れていたんだ。

「あのう、お客様大丈夫ですか?」

 カメラを構えた店員は怪訝そうに私の方を見つめてくる。

 大丈夫ですよ、私は首を縦に振って返答に変えた。

 彼に伝えた謝罪のメッセージは既読がつかないままだった。もし、また出会える世界があったなら、いつかは冷静になって話し合いができる日もくるだろうか。

 だとしても、私は人を愛する資格なんかないと思う。誰も愛することはできない、そんなことを思っていた。


 君の前から立ち去る準備はできていた。

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シャープペンシルで<嘘>を書いてみた 卯月ゆう @shirousagi0003

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