第2話 続・詐欺電話?
「もしもーし?」
『もしもし?』
「だぁれ?」
『もしもし? もしもし?』
「もしもーし? どなたぁ?」
『もしもし? 聞こえています?』
「聞こえているよ。てか、だぁれ?」
『おばあちゃんよ』
「え? ばぁば? あれ? 番号知ってたっけ?」
『前に教えてくれたじゃない』
「んー? そうだったけ?」
『そうよぉ』
「で? どうしたの?」
『実は、ちょっと困ったことになっちゃってね……』
「えー? なぁに? パパには言ってないの?」
『誰にも言えないのよぉ』
「えー? 何があったのよ?」
『あのねぇ、おミカンがね……』
「ミカン?」
『そうなの! 良いミカンを1箱買ったのよ』
「うん。で?」
『お向かいさんに少しお裾分けしたんだけどね』
「うん。良いじゃん」
『良くなかったのよぉ』
「ええ? どういうこと?」
『お裾分けしたのが、結構傷んでいたみたいでねぇ』
「えー? でも、それってばぁばのせじゃなくなーい?」
『そうなんだけどねぇ』
「で? お向かいさん、怒ってるの?」
『そうなのよぉ。嫌がらせじゃないかって……』
「でも、ばぁば謝ったんでしょ?」
『そうなんだけどねぇ。
何か、お詫びの品でも持って行った方がいいかと思ってね……』
「うーん……」
『何か買ってきてもらえない?
ほら、何か都会でしか買えないようなものをね……』
「えぇー……私がぁ?」
『悪いねぇ』
「わかったよ。なんか買って日曜日に持っていくね」
『ありがとう。パパたちには内緒でお願いね』
「わかったー。じゃあねー」
『ありがとう。待っているよ』
【日曜日】
ピンポーン
「ばぁばー! かわいいかわいい孫が来ましたよー!」
『まぁまぁまぁ! あらやだ! いきなりどうしたの?』
「えー! 日曜日に行くねって言ったよぉ」
『えぇ?』
「はーい、これ。頼まれていたの。良いでしょ?」
『あら、なぁにこのスカーフ!? どうしたの?』
「なにって……ミカンのお詫びでしょ?」
『ミカンのお詫び?』
「え?」
『え?』
===
〈社長さん、社長さん。ご報告です〉
《……》
〈社長さん! ご報告です! 起きてくださいな!〉
《……! あ、ああ! はい、はい。すみませんね》
〈まったく、ここで居眠りしないでくださいよ。ご報告です。昨日、公民館で2丁目の高橋さんに会ったのですけどね、日曜日にお孫さんが来てくださったそうです。1年ぶりですって。しかも、ブランド物のスカーフを持ってきてくれたって喜んでいましたよ〉
《ほう! それは、それは。良かったですな。そうすると、今年の仕事はこれで完了ですかな?》
〈ええ、この地区内で、1年間親族の来訪者がいない方はいなくなりましたよ〉
《おお! それは何よりです。そうすると、今日がわが社の仕事納めですね》
〈そうなりますわね。今年も無事に仕事を納められて何よりですね〉
《そうですね。また、来年も頑張りましょう》
おしまい
ふぞろいな本棚 深波あお @minami_ao
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