せな

春愁はるうれうまなざしえばせなばかり」


春なのにためいきついてきみはものがなしい。

その目を追えば分かるよ。

初恋はつこいやぶれてもまだ先輩せんぱいのことをおもっていること。

君が見ているのは先輩の背中せなかばかりだ。

ぼくを見てはくれない。


▼▼▼


・「春愁しゅんしゅう」:春の季語


春の日にふと感じる物悲ものがなしさ。

春に感じる哀愁あいしゅう


・「せな(な・な)」:


「な」は接尾語せつびご

女性じょせいおっと恋人こいびと兄弟きょうだいなどをしたしんでいう。せなな。せなの。

あに。また、わかおとこ


●【青春せいしゅん三角さんかく雨模様あめもよう ~恋句こいく二十景にじゅっけい~】より

https://kakuyomu.jp/works/16818093078290063675/episodes/16818093078664968516


つまり、「せな」と「背中せなか」をかけているわけです。

先輩は彼女の幼馴染おさななじみであり、お兄ちゃんと呼ぶ相手あいてです。

春、高校入学をに思い切って告白こくはくも、「いもうとにしか見えない」と恋にやぶれたあとに……。


ここでひとつ「恋句二十景」の仕掛しかけを種明たねあかし?


一段下げている句はつまり、クラスメートの男の子の目線での句です。


「恋句二十景」は恋にやぶれ、恋にれる女の子が主役しゅやくの句です。物語ものがたりとしてはまた、並行へいこうして彼女かのじょかれていく男の子のそれもあるわけです。どちらかといえば小説しょうせつを見て作句さっくしたよりも、恋愛漫画れんあいまんがから作句したと思ってもらう方がいいかもしれません。その手法的しゅほうてきには。

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言の葉のささやき ~ひなの目覚め~ @t-Arigatou

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