恋草

夕凪ゆうなぎにそぞろ恋草こいぐさたよりなく」


夏は夕凪、時が止まったようなそのころにも、そぞろこころは落ち着かない。

あなたはない。

約束やくそくしたわけじゃないけれど。

便たよりもない。そわそわとたよりなさ。

それがかえって恋心こいごころやしていく。

あなたへのおもい、こいするこころたしかにしていく。


などと。


▼▼▼


夕凪ゆうなぎなつ季語きご


海岸地方かいがんちほう夕方ゆうがた海風うみかぜから陸風りくかぜわるときの無風むふう状態じょうたい


・そぞろ:


形容動詞けいようどうし」そわそわしてかないさま。とう

副詞ふくしなんとなく。


「そぞろあめ」さしてつよくはないが、いつまでもまずにる雨。

「そぞろあるき」とくにこれという目的もくてきもなく、ぶらぶら歩きまわること。散歩さんぽ

「そぞろごころ」そわそわして落ち着かない心。うわついた心。


恋草こいぐさ


恋心こいごころひろがるさまを、くさしげることにたとえた言葉ことば


『恋草を力車ちからぐるま七車ななくるまみてふらくこころから』

(恋を草にたとえるなら大八車だいはちぐるま七台にめるレベルで恋しています心から。)広川女王ひろかわのおおきみ万葉集まんようしゅう

「エモい古語辞典こごじてん」(著者ちょしゃ堀越ほりこし英美ひでみ朝日出版社あさひしゅっぱんしゃ)より


・たよりない:「便たよりない」と「たよりない」をかけました


えました


青春せいしゅん三角さんかく雨模様あめもよう ~恋句こいく二十景にじゅっけい~】より

https://kakuyomu.jp/works/16818093078290063675


もとは


にスマホむね恋草こいぐさなつまつり」


リズムはあるんでいいとは思います。

でもどうも、景色けしき心情しんじょう、いずれもあらわしきれていないと不満ふまん


夏祭なつまつむね恋草こいぐさあなたち」

「待ち焦がれ恋草ゆる夏灯籠なつとうろ


季語を変えるか。

夏祭り? 夏灯籠?

しっくりこない


夕凪!

なぎのようにあなたは来ない。

そのなかで待つ身、れる心、真逆まぎゃくのそれを表そう!


「夕凪のむねに恋草ちぼうけ」

「スマホ手に恋草胸に夕凪に」


スマホは良くないか……

待ちぼうけの感じより、スマホばかりを見て気もそぞろなかんじしか見えない。


そぞろ?

それか!


「そぞろ待つ胸に恋草夕凪よ」

「そぞろ待つ夕凪にしのぶ(忍ぶ、偲ぶ)恋草よ」

「夕凪にそぞろ恋草あなた待ち」


会う約束やくそく予定よていがあって待たされている感じがするなあ。

ちぼうけ、ではないわけだし……。


ここでスマホか?

に、便たよりなし!

たよりない!!

これだ!


と、なりました。

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