喫茶店PEACHで、魔法にかけられましょう

 この作品の主人公・桃夏は、少し自分に自信のない女の子。夏休みに入る前に失恋をしてしまったのか、一人悲しみに暮れます。
 そんな桃夏を部屋から連れ出すのは、幼馴染である杏。桃夏は杏と共に、とある場所へ足を踏み入れます。

 それこそが、「喫茶店PEACH」。

 そこでの出会いが、桃夏の心を前に向かせます。



 この作品、作者様が煽り文にしているように、「前を向きたい全ての人へ」届いてほしい。この作品を読むと、とても気分が晴れて、元気が出ます。この作品にはそんな魅力があります。

 特に私がそう思ったところ、この作品で一番好きな場面は、「第3話 反吐が出る」にあります。

 喫茶店PEACHに連れて行かれたものの、杏の魅力を再確認してしまっただけ。余計に惨めな気持ちになる桃夏。そんな桃夏に、店長である薫は告げます。

「コンプレックスと向き合いましょうって言葉、あるじゃない?」
「私ね、その言葉をきくたびに反吐が出るの」

 この言葉に私は衝撃を受けました。
 何となく、普通、そこはコンプレックスを乗り越えて、克服して、そして強くなっていくところ。
 ですがここでは、それを真っ向から否定しました。その理由にも、とても納得。本当にとてもいいので、ここでは語りたくないです。自分の目で読み進めていってほしいです。
 とにかく、それを読んだときに、「無理して良くなろうとしなくていいんだ。焦らないで、逃げる時は逃げてもいいんだ」と、そう、どこか肩の荷が落ちたように感じました。

 私にもコンプレックスが多々あります。周りばかりが良く見える。それに比べて自分は? 何も無いのではないか? そんな風に思って俯いてしまいます。
 でも、この作品を読むと、顔を上げることが出来ます。
 桃夏のように、アイス・カフェ・ナポリターノを飲んではいないけれど。きっと私の夜も、いつか明ける。
 薫さんの魔法に、私もかけられたような、そんな気持ちです。


 今何かに悩んでいる人がいたら、前を向きたい人がいたら、ぜひこれを読んでほしい。きっと貴方にも、夜明けが訪れると思えるようになるから。

 また、これの続きも長編として連載されていますので、そちらもぜひ合わせて読んでほしいです。もちろん私も、続きを楽しみにしております!!