『拙者、ディアお嬢様にお仕えできるまで動かない侍』しますよ?
「――『拙者、ディアお嬢様にお仕えできるまで動かない侍』しますよ?」
「なにさそれ」
「ここで駄々こねます。そしてここはリビング。ディアお嬢様の生活にそっと寄り添うつまり実質お仕えしているも同然。どう転んでも私の勝利です。やったぜ」
うーん。恥も外聞もないなこのメイドホムンクルス。
「……どうするディア君? なんか面倒そうなこと言ってるけど」
「お姉さんはどうしたいですか? それによってなんとかします」
ならこんなやつ追い出して――と言うのは簡単だが、そうなると手の付けられない場所からそっとディア君を観察するストーカーになりそうな気がする。
逆に手の届く範囲で飼いならす方が無難か?
「ディア君、飼いならせる?」
「うーん……適切なご褒美を与えれば言うことを聞くタイプであれば、なんとか」
「私、忠実なメイドなので飼いならすのは簡単ですよ? ペットとしても最適です、わんわん」
残念、ペットなら
「……逆にディア君にお仕え代を払ってもらうとか?」
「身体でお支払いしますか? 金銭でも可能ですが、その場合は冒険者なり錬金術師なりとして働く許可をいただければ稼いできます」
乗り気だなこいつぅ。
でも対価を払ってでもディア君の側に居たいって気持ちは良く分かる。だってディア君美少女だから!!
「錬金術だとどのくらいの物が作れるの?」
「これでも混沌神の眷属なので、この世界の錬金術で作れるものであればなんでも。ただし材料は必要ですが」
「うん、
あるいは、対抗心を燃やしちゃうかもしれないけど、それはそれで喜びだろう。
「よし決めた。ディア君、このメイドを雇うとしよう。そして給料は自分で稼がせて、そこから払わせる方向で」
「なるほど。お嬢様に合法的に貢げるということですね? こちらは問題ありません。ディアお嬢様、カリーナさんの許可を頂きましたのでこれからお仕えしますね」
「……えーっと。なんか色々おかしい気がしなくもないですが。では、最初の命令です。お姉さんを初めとして、ここに来る皆に失礼の無いようにお願いしますね」
「かしこまりましたお嬢様」
スカートの端をちょいと持ち上げ、うやうやしく頭を下げるメイドホムンクルス。
部屋も用意してやらないとな……じゃないとディア君の部屋で寝泊まりするとか言いかねないし。
「では契約魔法を。私はディアお嬢様に真摯にお仕えします」
「……受け入れます」
まぁ、考えようによっては家賃を大量に納めてもらい、給料を雀の涙くれてやる感じか。
とんだブラックだぜ……労働基準法? うちの拠点じゃノーカンだから。奴隷もいるしな。
「それでは改めて命令です。お姉さんに敵対しない事。お姉さんを挑発するような態度を取らない事。お姉さんの命令は僕の命令だと思って真摯に従う事」
「……はい、インプットしました。ディアお嬢様」
「よろしい。では僕の後ろに控えることを許しますが、風呂やトイレ等はついてこないように。また、各々の私室には許可なく入らない事。一度許可を取ったから入り放題ということではなく、都度です。もし用があれば呼びます。主導権は僕です、わきまえるように。良いですね?」
「くっ……かしこまりました」
「また、一般的な法律を遵守する事。人の持ち物を勝手にくすねない事――」
「あっ、あっ、禁則事項が増えていく……っ」
おう、ディア君が追加で命令をガンガン重ねている。手慣れてるなぁホント。
(後から確認したところ、長々と命令した部分は奴隷を買って行動を縛る時に通常行う命令のテンプレートらしい)
と、ディア君が命令を一通り終えた頃、アイシアがやってきた。
「おかえりなさいませあるじ様。……なんですかそこのメイドは?」
「ああ。なんかその、拾った?」
「……メイドって拾うものでしたっけ?」
まぁ殆ど勝手についてきたと言ってもいいかなぁ。
「あと、ディア君のメイドになったから……うん、家事とか手伝わせてやって。こき使っていいからね」
「かしこまりましたあるじ様。あ、私はアイシアと言います。よろしくお願いします」
「はい、アイシア様。レナと申します。よろしくお願いします」
アイシアがレナに挨拶する。
「アイシアさんはレナの上司ですね。普段はアイシアさんの言うことを聞いて家事をしてください。けっして失礼のないように」
「かしこまりましたディアお嬢様。重ね重ねよろしくお願いします、アイシア様」
「……まさか部下ができるとは、むず痒いですね」
かくして、レナも
……部屋は私達の部屋からちょっと離させてもらったよ? 流石にね、うん。
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(久々の更新で申し訳なし……!
ここまで読んでいただいてありがとうございます! で、お知らせですわ。
――本作のコミカライズがニコニコ静画で見れるようになりました!
https://manga.nicovideo.jp/comic/70890
ココだけの話、人気の指標になるらしくて続刊にめっちゃ影響するらしいから、めっちゃコメントしてって……
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