初めましてお嬢様



「ただいまー」


 メイドホムンクルスのレナを連れて拠点に戻る。


「あ、おかえりなさいお姉さん。お出かけでしたか?」


 出迎えてくれたのはディア君である。……やっべ、そもそもディア君やアイシアに秘密で色々できるのが欲しくて出かけてたんだったよな……


「あれ? そちらの方は……お姉さんの新しいご友人で?」

「初めましてお嬢様。私は私のお仕えすべき方を見つけてしまったようですね。あなたのメイド、レナです」

「え?」

「は?」


 レナは一瞬でディア君の前に移動し、膝をついて、ディア君の手を両手で包み込んで見上げていた。


「おいテメェうちのディア君になにしてるんだ」

「ディア様という名前なのですね。とても素敵で可憐なお名前。お嬢様、あなたのメイド、レナになんなりとお命じください」

「……えーっと。僕は男です。お嬢様ではないので」


 冷静にやんわりとお断りをするディア君。

 ふふん、ディア君が女の子じゃなくて残念だったな! ディア君は観賞用なんだよ!


「こんなに可愛いうえにおちんちんが付いてるんですか。なんてお得。夜伽が捗りますね?」


 しかしレナはひるまなかった。むしろぐいぐいきやがった。


「では早速今夜伺わせていただきます。大丈夫、私に全てお任せを」

「しませんよッ!?」

「させねぇよッ!?」


 私はぐいっとレナを引き剥がし……剥が……剥がせないッ!? こいつ、なんというバカぢからッ!!


「おやめくださいカリーナさん。私はディアお嬢様のメイドですよ」

「メイドなら控えてろっ! というか、私の許可なくディア君のメイドになれると思うなよ!?」

「なぜあなたの許可が必要なのですか? 私の疑似魂フェイクソウルは既にディアお嬢様のメイドに就任しました。そこにあなたが割り込む余地はありません」

「あー。……控えてください、レナさん? お姉さんの言うことを聞けないメイドは不要です。ここは、お姉さんの家なんですよ?」

「申し訳ありませんでしたお嬢様」


 ディア君が言うと素直に謝罪し、手を放してディア君の斜め後ろにスッと控えた。


「ディア君、なんか変なの連れてきちゃってごめんね」

「いえ、メイドなら扱いは慣れてるので大丈夫です。実家ではそれなりに居ましたし。少し僕にまかせてもらっていいですか?」

「あ。うん」


 やっぱディア君いいとこのお坊ちゃんだったよね。メイドがそれなりに居るとか、扱いに慣れてるとか。


「ところで。雇用契約を結んでいないのに僕のメイドを名乗るとはどういう了見ですか?」

「申し訳ありませんお嬢様。それでは契約魔法を交わしましょう。私の報酬はお嬢様にお仕えさせていただくこと。その対価として、お嬢様にお仕えします」

「給金の話がないとは信用できませんね。報酬は生きるのにも必要でしょう。他で報酬を受け取っているスパイでしょうか?」


 キツイ正論を言うディアくんだが、レナは嬉しそうに目を輝かせている。

 言葉にすれば「最高かよこのご主人様」だろうか。


「……私はメイドとして生み出されたホムンクルス。主がいなければ死ぬしかないのです。逆に、主がいれば、混沌機関が働き不眠不休で仕え続けることができます。……お嬢様にお仕えする事。それが私の生きる条件であり、私への報酬となるのです」

「なるほど、命が対価ということですか。…………そこそこ信用できますが、それではお姉さんに仕えてください。僕は居候の身なので」

「…………そこをなんとか!!!!! 仕えるなら美少女がいいんです!!! 混沌機関にギュンギュンきてエネルギーがMAXなんです!!!」


 おい私も美少女なんだが?



――――――――――――――――――

「天然の方がいいに決まってるでしょうがッッッ!!」

「それはそう」



(以下お知らせ)

 フザケた新作も引き続きやってます。

 『バニーにあらずんば人にあらず ~バニーガールに支配された世界でニンジン屋を営む~』

  https://kakuyomu.jp/works/16818093083361398334




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