第7話
「いやいや、私がいなくなったら、冀州は公孫瓚に攻められちゃうよ?」
「それは、そうっすけど……」
独立か~。考えても見なかったな。
そんなことを考えていると、報告が来た。
「え? 軍勢が見える? ここ長安に向かっている?」
慌てて、城壁を登る。
北からだそうだ。
その旗を見て、驚いた。
「涼州兵……かな?」
来たのは、馬騰と韓遂だった。まあ、他にもいるんだけど、文字数的に割愛。
馬騰君は、でっかいのね~。2メートルくらいありそうだわ。主食が肉っぽいね。
話を聞くと、李傕と郭汜に呼応したが、上手く行かずに内乱状態だったとか。
知ってるよ~。益州巻き込んで、戦争してたんだよね~。
そんで、李傕と郭汜が討たれて、長安に軍が入ったので、状況確認しに来たと。
「一応、冀州軍は官軍ね。献帝の保護を行っているんだし。従ってね」
「「はっ!」」
「そんじゃ命令。戦争止めて涼州を仲良く治めてね~。分割統治でOKよ」
「「……え~と? 何をしろと?」」
「返事!」
「「はい!」」
まあ彼等が殺し合いをするのは、避けられないんだけど。
う~ん。どうしようかな~。馬超も正史を考えると、手元に置きたくない。
脳内シミュレーションゲームを行う……。
「うん。漢中の張魯君に長安を任せようか……。彼は、宗教で国を治めるタイプだから、信頼できそうだし」
献帝に漢中王の印綬を出す様に奏上しよう。そうすれば、張魯君は従ってくれるはずだ。王の印綬なんて無料なんだし、安い買い物だ。これで、味方が増える。
「「「えええ!?」」」
張魯君は、益州を狙う意味を失うし、劉焉と劉璋は独立しようと動くはずだ。
平原の西半分は、史実よりもカオスな状況を作り出し、冀州が安定するまで、争って貰おう。
残るのは、孫策だけど、孫堅はまだ生きている。劉表は、荊州牧になった頃かな?
献帝から孫堅に、『戦争しない様に』と一筆書いて貰えば、江南江東も雑魚が乱立する状態が維持されるはずだ。
いや、孫堅を青州に招くのもいいかな~。青州の一郡与えて、太守にすると言えば、喜んで来そうだ。湖賊とかしてたんだし。
安定した基盤があると、選択肢が増えて楽しいよね。シミュレーションゲームの中盤に入った時期だな。ここから一気に土地を取りに行ける。
そうそう、呂布は放置。冀州にさえ入れない。彷徨って貰おう。そうしよう。
あっ、それと、忘れちゃいけない袁術は……、自滅を待てば良いかな? 玉璽は……、いいや取りに行かない。誰かに任せよう。これだけは、シミュレーションゲームと違うとこだな。
◇
「本当によろしかったんすか?」
張郃からの質問だった。
それと、今は帰路に着いている。まず洛陽へ向かって、それから冀州だ。一ヵ月もあれば、到着するだろう。
「公孫瓚を放置することは、できないからね~。もしかしたら、もう攻め込んでるかもね~」
本当は公孫瓚を討ててれば、長安に残っても良かったんだけど、流石にそれは上手すぎだよね~。
「いえ……。独立の話です」
そっちか。
「漢王朝が乱れているからと言って、無断で太守を名乗っても反乱を起こされるだけよ? それに私は、青州刺史代理でもあるんだよ。正確には、青州牧代理かな? 飛び地を得ても維持はできないよ」
「それはそうっすけど……」
「張郃殿。それ以上は、郭図様の〈神眼〉を疑うことになる。止めた方が良い」
「……そうっすな」
今度は、張遼からだった。
だけど、〈神眼〉ってなに?
◇
冀州に着くと、案の定攻められていた。でも、城はまだ落ちてないな。
殿は、怯えていそうだな~。
しょうがない。
「長旅のところ悪いんだけど、公孫瓚軍の横腹突いてくれる?」
「「「はっ!」」」
もの凄い勢いで、突撃して行く、三軍。その数九万人。ちなみに残りの一万人は、私の護衛だ。
横撃を受けた公孫瓚軍本陣が、崩壊して行く。
あれは……、もう止まらないね。
幽州軍は、ちりじりになって逃げて行った。それと、公孫瓚は討ち取れなかったとのこと。まだまだ面倒ごとは、続きそうだな。
でも、烏桓族防衛の役目もあるから、もうちょっと生きて貰おう。その間に、私は、兗州の劉岱と交渉かな~。歴史的にも、袁紹と曹操は、公孫瓚を討ち取るまで協力してたし。
その次に、今度は徐州かな~。
脳内シミュレーションを続けないとな~。
冀州城に着くと、殿から大歓迎される。
「待っていたんだも~ん。神采配軍師郭図君! 君最高!!」
おう? 仇名が変わってますやん?
【出れば負け軍師】に転生しちゃったよ~正史と演義の知識で歴史改変~ 信仙夜祭 @tomi1070
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