第6話

 さて、困ったぞ……。

 呂布が董卓を討ったのか~。

 呂布だけじゃない。李傕と郭汜も来るぞ。


「献帝を保護する必要が、あると思う?」


 う~ん。正直、微妙。

 献帝って実は気性が激しいのよね。殿では、抑えられないと思う。

 曹操だったからって思ってしまう。

 だけど、官軍の称号は欲しいな~。


「まず、洛陽にいると危ないので保護しましょう。そんで、劉岱殿に洛陽の復興を依頼しましょうか……。兗州の方が近いので」


「何でそんな面倒なことするの?」


「献帝を見捨てて、生き残られると、後で無理難題が来ます。少しだけでも助けたという事実が必要です」


「それなら、洛陽に兵を派遣すればいいんじゃない?」


「冀州兵を長期間派兵するとなると、公孫瓚が挙兵しますね。短期間なら、青州兵で牽制できますけど……。手順が間違っています。それと、資金は出したくありません」


「……君、視野が広いね。頼もしいのよ~ん」


 歴史知ってますからね。

 それと、誰からも反対意見は出なかった。





「ふ~う。なんで、私が洛陽に行かなければならないんだ? それも、十万もの軍を率いて……」


 ため息が出た。


「ははは。御冗談を。郭図様意外に、この様な大役を引き受けられる人材などおりませぬ」


 超雲君……。君の中の私は、評価高すぎだよ。それと、張郃と張遼は無言だ。


 道中は、何事もなく洛陽へ着いた。着いちゃった。トラブル起きて、冀州に帰りたかったのに。

 あ……。ちょっとだけあったか。


「郭図様。洛陽が遠目に見えました。もう少しです」


「ありがとう。劉備君。君、頼りになるね~」


 そう……。劉備三兄弟が、配下に加わりたいと言って来たのだ。

 張遼の勧めもあって、配下に加えた。とりあえず、下級役人だな。

 関羽と張飛の武力も欲しい。それと、献帝の護衛に彼等ほど向いた人材もいないだろう。

 そんなこんなで、洛陽に着く。



 まず、献帝に挨拶だ。


「呼びかけに応じて、冀州兵十万人参上いたしました」


「ちっ、遅ぇんだよ。まず、洛陽を復興しろ! 早急に元に戻せよ!」


 ダメだ、この帝……。支えるに値しない。

 まあ、皇帝なんてこんなもんか。


 とりあえず、復興する振りをする。瓦礫の撤去から始めて、資金を温存する。

 そうすると、李傕と郭汜が軍を率いて来た。正史通りだな。

 献帝に報告して、兗州へ逃げて貰う。護衛は、劉備君たちにお願いする。


「そんじゃ、迎撃よろしくね~。そんなに強くないと思うけど、油断はしないでね」


「「「はっ!」」」


 張郃・張遼・超雲が、突撃して行った。

 もうシミュレーションゲームなら、これ以上ないって布陣だよね。


 李傕と郭汜は、サクッと討ち取られた。まあなんだ、役者が違うよね。

 郭図の私が言うのもなんだけど。

 それと、これからどうしようかな~。


「郭図様。献帝が戻って来たら面倒です。帰りましょう」


 うん、そうだよね~。

 でも放置すると、もっと面倒なこともあるんだよ。


「長安に行こうか。残存兵力が残っているかもしれない」


「「「えっ!?」」」


 うん、意味不明だよね。歴史を知らないと、この判断を下せないのは、私も理解できる。





 長安はとりあえず無事だった。住む所も食料もある。

 歴史だと、盗賊が住み着いて一大勢力になるんだよな~。曹操は、手を焼かれることになる。まあ、最終的には制圧するんだけど。今の内に、平定しておきたい。


「でも、誰に任せるかな~。長安は、冀州から遠いんだよね~」


「郭図様が、統治なされては? 独立されるのです! いえ、されるべきです!」


「えっ!?」


 三人の将軍が、真剣な眼差しを私に送って来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る