第5話
盗賊は、『黒山賊』だった。
あれだ……。呂布に討たれる人達だ。
根城に近づくと、撃って出て来た。単純な人達だな~。
正面の軍は、張郃将軍に任せる。私は、別動隊を率いて、盗賊の根城を襲った。
「食料を溜め込んでんだな~」
盗賊たちが慌てて戻って来たけど、門を閉じて応戦する。
その背後を、張郃将軍が撃ってくれて、盗賊は霧散した。殲滅はしないけど、どこかで真面目に生きて欲しいと思う。
それと……、仕官したいとか言って来た人が多く現れた。
私の政策と黒山賊討伐で、評価が高まったらしい。
人手不足なので、これはありがたい。ありがたいんだけど……。
一人、すっごい人がいた。
「そんじゃ、食料の輸送をお願いしますね。張遼将軍」
「はっ! お任せを!」
曹操の部下筆頭が、今私の下で働いてんだけど……。
何だこの状況?
ちなみに曹操は、正史通りに城を三つ貰って軍を立て直している。青州兵を得られなければ、曹操の快進撃も始まらない。兗州刺史の劉岱も死亡させない。鮑信も生きているし、曹操は……大丈夫かな?
もう一人、袁紹だ。食糧不足に悩んでいるみたいだ。こちらも大丈夫かな? 決断の遅い人物だし、殿は成功続きで自信を取り戻している。兵権を譲ることはないと思いたい。
公孫瓚も、冬は進軍しないと思うので、易京城でも作っている頃だろう。烏桓族の脅威は、残っているはずだ。
「青州の百万人の民……。河北の未来を決めるのは、彼等なんだよね」
◇
本格的な冬が始まった。
塩を売って穀物を買い、海の幸で飢えを凌いで行く。
幸いにも、盗賊は現れなかった。どうやら、黒山賊を討伐した話が広まって、私は戦上手と思われているみたいだ。文官なんだけどね……。
兵士たちには、獣を狩って貰い、自分たちの食料にして貰っている。誰もが苦しい時期だ。
だけど、百日乗り越えれば、暖かくなる。それまでに、どれけ死者を減らせるか……。
青州一丸となった、人命救助作戦が続けられた。
そんな時だった。
「ほう? 見事な猪だな」
「はい、若者が狩って来まして、面会を求めています」
今、食料以上に必要なモノはない。対価に何を望んで来るんだ?
……会ってみるか。
「君か? 猪をありがとう」
「はっ!」
超美形の青年だな~。
「名前を教えて」
「趙雲と申します」
ごふ?
蜀漢の五虎大将軍ですか?
◇
超雲は、私の秘書になって貰った。まあ、護衛だな。計算もできるので、とても有能だ。各地の伝令をまとめてくれてもいる。
まだ若いので、学んで貰い、後に兵権を渡す予定だ。
「……今日も餓死者なしです。それと、盗賊も出ていません」
いいね、いいね。この一体感。部下に、張郃、張遼、超雲を筆頭として、有能な人材が集まっている。河北オールスターズと言ってもいいんじゃない?
もう、私を青州牧にって話もあるくらいだよ~。受けないけどね。
謙虚に、謙虚に行きましょう。
そして、春となった。草木が芽吹く。
全てを救えたとは言わない。だけど、青州の黄巾賊は発生しなかった。これで、河北の動乱は、その大半が抑えられたことになる。まあ、まだ脅威はいるけどね。
袁紹は、食料不足で兵士を解雇したみたいだ。兵士が少なくなったので、冀州乗っ取りはないな。今後は、顎でこき使ってやろう。
私は青州牧代理なのだ! 兵権も持っている。
公孫瓚は、烏桓族に攻められているらしい。易京城は、モグラ戦術で落とせることが分かっているので、私には脅威にならない。
兵を集めに曹操も来たけど、あんまり集まらなかったみたいだ。
それと、曹操は小さかった。130センチメートルという話だ。
青州は、畑を耕し始めた。揉み種もある。順調かな。イナゴの被害が怖いけど……、この年には発生しないはずだ。
◇
数年が過ぎた。全てが順調だった。兵数も兵糧も十分だ。公孫瓚・袁紹・曹操は、兵力差を理解して攻めてこようとはしない。
まあ袁紹は、もう私の部下なんだけどね。部下も含めて吸収してやった。ちなみに、仲の悪くなる沮授と田豊は、地方に左遷ね~。もう栄転はないよ。
途中で、
実際は、強いんだけど、性格がね~。彼は、パスだ。兗州に行くことを勧めた。
あと、人事として欲しいのは、諸葛瑾かな~。でも、徐州に住んでんだよね。それと、今何歳くらいだ? 成人するまで、もう数年かかるかな?
まあ、曹操の大虐殺はもうない……と思う。そのうち、諸葛家を探してみよう。
順調だと思った時に、落とし穴がある。
殿からの呼び出しだ。
何だろう? 急いで、冀州へ向かう。
「お~、郭図君! よくやってくれたんだも~ん。収入が数倍になってんだも~ん」
「それで、殿! 火急の相談とは?」
「これを見て、欲しいんだも~ん」
木簡を見る。
献帝から? 洛陽にいるので復興を手伝え?
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