ミステリーとしての魅力とか、文章の良さとか、そういうものは他の上手なレビューがあるので、物語を読むにあたってキャラクター萌えを抱きやすい者としてオススメしたいと思います。
でも、一番言いたいことは一番最後です。
みんな1話をとりあえず読みましょう。
主人公がね……黒操さんがね……良いんです……。
作品はタイトル通り黒幕である彼の一人称視点で進んでいくのですが、彼のテンションの浮き沈みがとにかく愉快で大好きです。
ヒロインが関わっているときとそうでないときの感情の揺れとか……。
シリアスなシーンとコミカルなシーンでコロコロとノリが変わり、感情を滅茶苦茶にされます。
ヒロインの明崎さんはとにかく良い子です。
彼女には感情は滅茶苦茶にされません。癒しです。
誠実で、公平で、真っ直ぐで、時々ちょっと抜けたところがあるのが可愛いです。
黒操さんの視点を通して見る、彼女の瞳の輝きが好きです。
でも、物語の行く末に思いを馳せて、時々胸がきゅっとなります。
主役の2人以外にも、魅力的なキャラクターが沢山出てきます。
事件に関わる人々や、2人を取り巻く準レギュラーたち。
どのキャラクターもやり取りが見ていて小気味よく、彼らのやり取りを見たくて先へ先へとページを進めていってしまいます。
ということで、まずは1話から……!
みんなとりあえず1話を読んで黒操朔夜に滅茶苦茶にされてください。
って感じなんだけど、実は私の推しは3話に出てくるキャラなので出来れば3話まで読んで欲しい~……です!
で、そのまま続けて4話に入ると幸せになれます。
みんな、黒操朔夜に滅茶苦茶にされましょう。
そして、幸せになりましょう。
とある何の変哲もない夜に唐突に友人からメッセージが届きました。
いきなり何の用なんだと開いてみると、曰く感想を話す相手が欲しいから読んでくれとカクヨムのリンクが貼られていました。それが私とこの作品との出会いです。
とりあえず一話を読んでみたのですが、冒頭から天を仰ぎました。なるほどタイトル通りだ。だが、こんな黒幕でいいのか。
この黒幕、熱意がおかしい所にある。
そして読み進めるほどなんだか戸惑ってる私の方がおかしい気がしてくる。探偵さん今すぐ逃げて。目の前の助手はやばい男だ。
ただ、読み進めていくと丸っきり騙されているわけじゃないのがたまらない。普通はこうでしょ!という所でも探偵はちゃんと見抜いてる。凄い。
でも探偵ちゃんは性根が善性なのでやっぱり心配になります。
黒繰朔夜のバックボーンがチラ見せされてきているのでこれからの展開がどうなるかとても楽しみです。
はたして探偵ちゃんには何が見えているのか。どこまで分かってるのか。
人にオススメしたい作品です 。仮に気にならなくてもぜひ騙されたと思って読んで欲しい。
☆小説本体のあらすじ欄は小説賞の応募のためにネタバレ有りですので、読まないことをお勧めします。
かの有名なホームズとワトソン博士のように、探偵ものには鋭い推理を放つ探偵と魅力的な助手が必要です。たとえばその助手が発する何気ない一言で探偵が真相に気づくなんてシーンは、助手がふと目を留めた何かの持つ真実に探偵だけが気付くからこそ、そして誰も気に留めなかったそれを助手が探偵に伝えるからこそ輝くわけです。
最後に探偵の推理発表にはやはり絶妙な相槌をうつ助手の構図がよく似合う。
この小説はそんな探偵である女子大学生と助手の話です。しかしこの助手、彼が持つ魅力は一味違う。そう、この小説におけるトリックの原案はすべて彼が考え、販売していたものだったのです。
勿論探偵は知りません。バレれば当然犯罪でしょうし、そもそも彼女に彼は軽蔑されてしまう。
黒幕の取る行動の最適解は探偵に関わらないで雲隠れすることでしょうが、しかし彼にはそうもいかない理由があった。
そう、彼は探偵の彼女のことが大好きだったのです……!
間近で彼女の活躍を見たい。彼女に自分を必要として欲しい。
これは、そんな気持ちで助手を続ける割と悪側の主人公と、人の感情の機微に敏感な正義の味方みたいな探偵ちゃんのお話。
ちなみにふたりがわりとお互いを意識してるところも多いので恋愛面についてもニヤニヤできる点もとてもいい。
続きが読みたくなる魅力がたっぷり詰まっています。
とっつきやすいライトさで読み進めやすいミステリです。
ライトノベルの賞でミステリだと学園モノが多いように思いますが、今作は事件の舞台とキャストが幅広く飽きません。ヒロインは学生ですが主人公が二十代半ばであるため、大人でも読みやすい作品だと思います。
また、男性主人公ではありますが女性向けとあるように、女性が読みやすい作品になっていると思います。嫌味のないヒロインの明崎さん、格好良くて危うい黒幕主人公の黒繰さん……二人の恋愛に発展する前のもどかしさは、読んでいて胸をくすぐる心地よさがあります。それは決してミステリの雰囲気を損なうものではなく、細やかな主人公の心理描写は読者に彼の人となりをより詳細に教えてくれます。
三つの章全て、ミステリとして完成されていました。
ウェブ小説を途中で切りがちな私が、圧倒的に読んで良かった・オブ・ザ・イヤーです。
今後書籍化されたら、メディアミックス化されて明崎さんを若手の清純派女優さんが演じる所まで行って欲しいと思っています。ライトノベルとして受けるかはわかりませんが、ライト文芸として素晴らしい完成度の作品です。ぜひ大賞を取って頂きたい。
(コンテスト投稿規定による)あらすじのネタバレは読まず、まずは第一章の第一話をご覧ください。損をすることは決してありません。