あらすじを読まずにまずこのレビューを読んで欲しい!

☆小説本体のあらすじ欄は小説賞の応募のためにネタバレ有りですので、読まないことをお勧めします。


かの有名なホームズとワトソン博士のように、探偵ものには鋭い推理を放つ探偵と魅力的な助手が必要です。たとえばその助手が発する何気ない一言で探偵が真相に気づくなんてシーンは、助手がふと目を留めた何かの持つ真実に探偵だけが気付くからこそ、そして誰も気に留めなかったそれを助手が探偵に伝えるからこそ輝くわけです。
最後に探偵の推理発表にはやはり絶妙な相槌をうつ助手の構図がよく似合う。

この小説はそんな探偵である女子大学生と助手の話です。しかしこの助手、彼が持つ魅力は一味違う。そう、この小説におけるトリックの原案はすべて彼が考え、販売していたものだったのです。

勿論探偵は知りません。バレれば当然犯罪でしょうし、そもそも彼女に彼は軽蔑されてしまう。
黒幕の取る行動の最適解は探偵に関わらないで雲隠れすることでしょうが、しかし彼にはそうもいかない理由があった。
そう、彼は探偵の彼女のことが大好きだったのです……!

間近で彼女の活躍を見たい。彼女に自分を必要として欲しい。
これは、そんな気持ちで助手を続ける割と悪側の主人公と、人の感情の機微に敏感な正義の味方みたいな探偵ちゃんのお話。

ちなみにふたりがわりとお互いを意識してるところも多いので恋愛面についてもニヤニヤできる点もとてもいい。
続きが読みたくなる魅力がたっぷり詰まっています。