第5話 人気俳優はお忍びのお買い物をする
(賢人視点)
ありがたいことに、ここ最近では世間から超人気俳優なんて呼ばれたりすることもあり、数々のドラマやバラエティー番組に出演する機会も増えてきた。
それはとても喜ばしいことなのだが………困ったことがある。
それは、毎日朝早くから夜遅くまで仕事が続くこともあり、自宅の生活必需品を買いに行けないのだ……。
双子の妹、玲奈に頼んでもいいのだが彼女もマネージャーとして俺以上に過酷な日々を過ごしているため、ちょっと気が引けてしまうのだ…………。
そして、今日約3ヶ月振りに半日ではあるが、オフができたので、早速俺は買い物に出かけることにした…………。
今の俺はプライベートなので、変装のつもりで黒のブランドロゴが入った帽子に伊達メガネをして、極めつけにマスクをする。
一歩間違えたらただの不審者なのだが………以前変装なしのまま買い物に出掛けた時すぐに正体がバレて、お店にファンの人たちが溢れかえるという惨事になってしまった経験があるので、いつもこの服装をしている。
駅近くのショッピングモールに向かう途中、何人かの高校生の姿が見えた。
その子たちを見て、ふと俺は少し前のテレビの収録で訪れた高校のある一人女の子の姿を思い浮かべていた。
(ドラマで共演する一流の女優さんたちに全く劣らない程顔立ちが整っていて、可愛い子だったなあ……。って、ダメだダメだ。ただでさえ女優さんとプライベートで少し会っただけで熱愛と取り上げられるんだから、言動には細心の注意を払わないと!)
そんなこんなで、一通りの必要な物を買い込んで、俺は最後にスーパーに来ていた。
現在お昼の2時。
早朝からの仕事だったこともあって朝から何も食べていなかったので、早急に何かを腹に入れたいと思い、お惣菜コーナーに向かう。
(美味しそうなお惣菜ないな………。
それなら、適当にカップ麺でも買っていくか……)
と、お惣菜コーナーを後にしようとした時、後ろ側から女性の小さな声で、
「……もしかして、伊瀬くん!?」
それを聞いた俺は、一瞬ビクッとしたが冷静を保ちつつ恐る恐る後ろを振り返ると…
月島唯花が両手で口を覆いながらこちらを涙目で見つめていた……。
「えっと………確か月島さんだったかな?」
「えっ、あ、はい!
名前覚えていてくれたんですか!?
…………めちゃくちゃ嬉しいです。」
頬を赤く染めながら、彼女はそう言う。
「まあ…………あれだけ印象的なことがあれば、さすがに名前覚えてるよ……。」
と苦笑いをしつつ答える。
すると、彼女も、そうですね、と頷くと
「伊瀬くんもお買い物ですか?」
「……まあね。朝から何も食べてなかったから適当にカップ麺とかを買おうかなって。」
「お料理とかはされないんですか……?」
「俺、全く料理できないんだよね……。」
「そういうことなら………………もしよろしければ私がお料理作りましょうか?」
「……えっ?」
「あっ!……えっと……変な意味じゃ……なくて……ですね。カップ麺とかって身体にあまり良くないかなあって……。
だから、ご迷惑じゃなければ料理を召し上がっていきませんか?」
「嬉しいお言葉なんだけど……それはお気持ちだけで十分というか…………。」
「あら、いいじゃない。賢人くん、せっかくだしご馳走してもらいなよ!」
と言ってきたのは、どこから現れたのか、妹の玲奈だった。
「はっ!?てか、なんで玲奈がここに?」
「賢人くんの部屋の隣に住んでるんだから最寄りのスーパーが一緒なのは当然でしょ?」
と言っていると、月島さんが、はっとした顔で
「えっと……マネージャーさんがいるなら私は別に……」
と言おうとすると、玲奈が首を横に振り
「残念ながら、今日は私の家で友人と女子会するつもりなんだよね……、賢人くんって以外にプライベートじゃあ女の子がたくさんいるところ好きじゃないから……。
ということで、月島さん良かったらこのバカ兄に美味しいご飯恵んでやってくれないかな?」
「でも、さすがに俺が行ったら色々問題あるだろ……」
「ふふふっ、そこはマネージャー公認ってことで。何かあれば、この普段完璧超人のフリをするバカ兄貴が限界寸前で知り合いの子に料理をご馳走になったって報告しとくから!」
「私はむしろ大歓迎です!」
「…………まあ、そういうことならありがたくご馳走になるよ。」
ということで、俺は現役女子高生の手料理を食べれることになったのだった…………
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いかがでしたか?
こんな物語が好きなんだよね……ということで作者は書き始めました。
色々と思うことはあると思いますが、出来れば暖かい目で楽しんでいただければ幸いです。
面白い!続きが気になる!っと、思ってくれた方は応援、フォロー、☆☆☆などなどよろしくお願いします!
では次回、お楽しみに!!
超人気俳優が女子高校生を好きになるのはダメなことですか? 桜木朔 @yt0318
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