月は語り星は密かに記す、くり返す潮の満ち引きと消えゆく記憶の情景を

男女の性愛関係へ至っていくまでを扱った作品。
性的描写や表現を押さえられながら、男女の機微を描いている。

読んでいると、高校生ですかと聞きたくなる。
結婚後も描いているものの、小学生から高校生へと至る辺りがメインなので、高校生だよねと納得させた。

構成と書き出し、展開が良い。

義兄が選んだ本はどれも耽美小説であり、彼が好きな世界なのだろう。
小説の中だけでなく実際に自分も堪能したいと考えた義兄は、教養だといって義妹に強要させ、自身が好む世界を踏襲させるためだと邪推したくなる。

女演俳優賞をあげたいほどの女優に成長した過程が、義妹である彼女の視点で描かれており、義兄は義妹が好きではなく、自身が耽美体験をすることで悦楽を求めるための相手が欲しかっただけではないか、と思えてならない。

義兄にとっての女を演じさせる義妹に贈られた俳優章、という意味合いが込められていると考えると、適したタイトルに思えた。