なんとも苦い後味

「声」が好きって告白、男子の純真さと残酷さが出てるなって思います。全くの一方通行かと思いきや、一度だけのキスが喉に引っかかった小骨みたいな描写になってる。ホントどういうつもりだったのか。明日香の加入を渋ったのは好きな子へ気遣ったようにも取れるし、でもやっぱり彼も二人きりを壊されたくなかったようにも思える。多分彼はどっちのことも好きで気になってて、そこが久慈の人生の分岐点だったんじゃないだろうか。

エピローグでも男に振り回されつつ、しかし対等に好きな人と舞台に立っていられる彼女は誰よりも淑女で、誰よりもハスキーボイスの強い男らしいのかも。自分なら出来ない、辛いと思う。なんとも苦味のある青春ものです。

その他のおすすめレビュー

豆腐数さんの他のおすすめレビュー591