第145話 4つめのスキルは、【ごはんのお供食材マップ】!?

王城で行なわれる貴族会議が近づく中。

僕は多忙ながらも充実した日々を送っていた。

領地の開拓や経営については、グリッドさん主導で進めてくれており、僕はほとんど確認作業のみで済んでいる。本当にありがたい。

また、シャロやアリア父から聞く他領の話もとても参考になった。が。


「フェリク様、勉強熱心なのはとてもいいことだと思いますけど、またご自身のことをお忘れじゃないですか? 領主たるもの、体調管理もしっかりしなくては! そろそろおやすみになってください」

「――シャロ。ごめんごめん。もう寝るよ」

「もう、気を抜くとすぐ働きづめになるんですから。アリアちゃんに告げ口しちゃいますよ!?」


シャロは不満げに口を膨らませる。

なぜアリアなんだろう? まあいいけど。


「明後日は、貴族会議へ向かわれる日です。明日は準備もありますから、本当におやすみくださいね!?」

「はーい」


――まあたしかに、寝不足で会議に参加して居眠りなんてしたらとんでもないしね。今日はもう寝て、しっかり体を休めよう。


僕はシャロに監視――見守られる中ベッドへ入り込み、それから程なくして意識が途切れた――はずだった。


◇◇◇


「こんばんは、フェリクさん!」

「こ、こんばんは……」


ふと気づくと、僕はあの真っ白な空間に立っていた。またかよ!

今度はいったいなんだろう?


「ここへ来たということは? もうお察しですよね?」

「え? いやでもまさか――」

「そのまさかです! 功績ポイントが溜まったので、新たなスキルを授けることになりました。今度もすごいですよー! 題して【ごはんのお供食材マップ】! ――えいっ☆」

「ええっ!?」


 僕の周囲に優しい風が舞い、スキル【ごはんのお供食材マップ】がじわっと温かく流れ込んでくるのが分かった。

 ――この、厳かなスキル授与のイメージをぶち壊す適当さにも慣れてきたな。

 というかスキル名が長い!


「あ、ありがとうございます……」

「これはですねー、ごはんのお供になりそうな食材を探せる、フェリク君にうってつけのスキルなんですよ~!」


 女神様によると、【ごはんのお供食材マップ】を発動させるとステータス画面のような形状のマップが表示され、探している食材を入手できる位置を教えてくれるらしい。最高か。


「最高です! ありがとうございます!」

「ふふっ、フェリク君なら喜んでくれると思ってました! それでは引き続き、素敵な生をお過ごしくださいね☆ ――あ、ちゃんと睡眠も取らなきゃだめですよ!」


 女神様がそう言ったのを聞き届けたあと、体の力が抜けてふわっと浮遊する感覚に襲われ、僕の意識は再び暗闇へと落ちていった――。


◇◇◇


「――ん。んう?」

「おはようございます、フェリク様」


気がつくと、すでに陽が高く昇っていた。

もしかして僕、寝坊した???


「おはようミア。今何時?」

「朝の11時です。ぐっすり眠っていましたので、このままおやすみになってもらおうという話になりまして」

「そ、そうなんだ。ありがとう」


しっかり眠れたおかげか、いつもより体が軽い気がする。

僕、けっこう疲れてたんだな……。


「お食事はどうされますか?」

「ちょうどもうすぐお昼だし、キッチンで作って食べるよ」

「かしこまりました。それでは失礼いたします」


一例してミアが出ていったあと、僕は昨夜授けられた第4のスキルのことを思い出してこれからのことを考えた。


 ――これ、領主様に言っていいのかな?

 まさかこの歳で四つめのスキルをもらっちゃうなんて。

 でも言わないのも、それはそれで後々知られたときに厄介だよね……。


 ここまでくると、自分がこの世界に転生したのはお米を広めるためなんじゃないか、とさえ思えてくる。

 まあどっちにしても、僕は僕の米活ライフを満喫するのみだけど!

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