第4話
小さい頃、俺も一度だけおやしろわらし様を見たことがある。その時は、神社の境内で元気に走り回る女の子だった。
おやしろわらし様の伝承は既に聞かされていたので、嬉しくなって両親に報告すると、
「おやしろわらし様が見えるのは、純粋無垢な子供だけ」
「子供のうちは心がきれいだから見えるけど、歳をとると見えなくなってしまう」
などと言われたものだ。
実際、俺が目撃したのは、その一度きりで……。
そんなおやしろわらし様を、真里は大人になっても見ることが出来たという。
前々から彼女はとても純真だと感じてきたが、それを神様に裏付けされた形だ。
真里に対する俺の想いも強くなり、なんだか胸が熱くなる。
この瞬間、俺は「東京に戻ったら婚約指輪などを用意して正式にプロポーズしよう」と決心するのだった。
(「おやしろわらし」完)
おやしろわらし 烏川 ハル @haru_karasugawa
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