直違の紋に誓って~あとがきに替えて

篠川翠

全ての二本松藩士に捧ぐ

 本来ならば、あとがきは作品の後につけるものなのでしょう。

ただし、「カクコン」への応募を決めたので、別途「カクヨム」用のあとがきを独立させて書いてみることにしました。


 実はワタクシ、noteでは「俳句」も詠んでいます。

 一応、これでも松山市の「俳句ポスト365」での入選経験もあり、多少なりとは俳句の心得もあるつもりです。

https://haikutown.jp/post/


さて、noteで俳句活動をしている中で、何度か「二本松藩・二本松少年隊」をテーマにした俳句・短歌を詠んでいるので、それをあとがき代わりにカクヨムでも披露しようと考えた次第です。


まず、一句目。


安達野あだちの数多あまたの種子よひこばえよ


これは、noteで「ふるさとをテーマに詠もう」というお題のときに詠んだ一句。季語は「ひこばゆ」(春の季語)。


作品のキャッチコピーにも使いましたが、多くの少年たちが傷つけられたのは、間違いありません。

ですが、同時に生き残った人々もいました。

彼らもまた、「生き残った者ならではの苦悩」を背負いながら、その後を生き延びたのではないでしょうか。

そんな彼らに贈る一句として、この句を詠ませていただきました。



安達野あだちのに夏草の露と散りぬれど

益荒男ますらおはなほ道貫きて


 これは、落城を覚悟で戦い抜いた二本松武士へ捧げる歌。技巧としてはまだまだかもしれませんが、武士道を貫いた全ての二本松藩士に、贈らずにはいられませんでした。

 ※本当は、二本松の落城は現代の暦で言えば秋なので、季節がずれていますが……。



かわせみや銀の腹を捕えをる

釈迦堂しゃかどうに見ゆ武士もののふの道


 これは、上の句が元々とある俳句の私設コンテストの応募作でした。そのコンテストで同時に「短歌」も募集していたため、下の句をつけたものです。

 句意としては、かわせみ(夏の季語)がお魚を捉えた瞬間を、敵討ちのシーンに見立てたものです。


 小説の舞台は、主人公の剛介が「親から寝物語に聞かされたであろう」、先祖の敵討ちのエピソード。

https://kakuyomu.jp/works/16817139558463849542/episodes/16817139558640490948


「釈迦堂」は須賀川市を流れる釈迦堂川のことですが、武谷家にこのエピソードが伝えられていたことに、不思議な縁を感じます。


つわもの御酒ごしゅを手にして月今宵つきこよい


季語は、「月今宵(秋)」。これも、メイン資料として使った「二本松藩史」で丹羽和左衛門わざえもんが落城前日、部下と酒を酌み交わしたというエピソードより。


https://kakuyomu.jp/works/16817139558463849542/episodes/16817330647564097226


詳細は小説に委ねるとして、落城の覚悟を決めた二本松の武士が、最期に月見酒と洒落込んだならば、詩情溢れる場面だったのではないでしょうか。


簡単ではありましたが、あとがき代わりに拙句・拙歌を披露させていただきました。

さらに詳しい創作裏話については、noteのリンクをどうぞ!

(noteでは、画像添付やファイル添付もできるので、こちらの方が詳しい内容です)


こぼれ話1

https://note.com/k_maru027/n/nad22f60cfe47


こぼれ話2

https://note.com/k_maru027/n/n63d3da51c71c


こぼれ話3(前編)

https://note.com/k_maru027/n/n159473050c09


こぼれ話3(後編)

https://note.com/k_maru027/n/n159473050c09


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