恋愛とは錯覚から始まるのかもしれない

東京で働く主人公・涼太の実家は、近畿地方にある時が止まったような村だった。
ここには未だ古い習慣が残っている。
そんな村の中で涼太にとって唯一の光が、義理の妹・六花の存在だった。
けれど六花は昔、神隠しにあってしまった。
そこから、涼太と六花は疎遠になったはずだった。

休みなく働き、会社側からゆっくり休めと、年末年始にまとまった休みをもらえた涼太は、3年ぶりに帰省します。
けれど、やはり閉鎖的な村に長くいる気はないようで、涼太の気持ちは沈み気味です。
それでもここまで来たのは、六花がいたからでしょう。
そして顔を合わせた六花は、疎遠だったにも関わらず、昔のように接してくれるのでした。

けれど、何かがおかしいのです。
その理由を、涼太は探り始めます。
いったい、いつからだったのか。
それらの謎が解き明かされる時、涼太は何を思うのでしょうか。

因習系ホラーらしく、じわりじわりと恐怖が忍び寄ってきます。
目を覆いたくなる場面もありますが、こうでしか表現できない愛もあるのだろうと、どこか切なさを感じる時もあります。

人間関係のしがらみを交えつつ、それを恐怖が蝕み、心があらわになる。
波紋のように広がる感情の揺らぎが素晴らしく、謎も相まってどんどん読み進めてしまう事間違いなしの作品です。
始まりは本能からくる錯覚かもしれませんが、貫く事で愛へと昇華ができるのか。
この結末は是非とも、ご自身の目で確かめて下さい。
2人が選んだ未来に、あなたは何を思うでしょうか?

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