人生で一番の絶句

 「俺が…梛様と一緒に風呂に入って…梛様を…洗うんですか?」


 遥斗は、自分で聞き返しながら、まだ言われた事が理解できないと言う複雑な表情だ。

 だが、神様の梛様は、さも当然と言う感じで返事をした。


 「そうだ。遥斗。お前が、私の体と髪も洗うんだ」


 「……」


 遥斗はここで、人生で一番絶句したが、すぐに無理やり我を我に返らせた。


 「そっ…それは、それは…梛様…俺は、男同士でも…ちょっと…」


 すると梛様は、美しい顔をちょっとムッとさせたかと思うと、次の瞬間ニヤっとした。

 遥斗はそれを見て、かなり、かなりイヤな予感がした。

 だが梛様は、ニヤっとした後妙にツンとして横を向き、狩衣、袴姿で腕を組んだ。


 「そ~か…そ~か…遥斗。仕方無い…お前がやってくれないなら…侍女代わりの女を探し、そこらにいる何人かの女に頼むかなぁ…美空に頼むのもいいし、美空の知り合いなら、美しきおなごが沢山いそうだし…」


 遥斗は、イヤな予感が適中して、ハッとして梛様を見た。

 そして思った。


 (梛様なら本当に美空さんに言って侍女扱いしそうだし…父さんも、梛様がやる事は見て見ぬフリしそうだし…)


 遥斗の脳裏に、風呂で一糸まとわぬ沢山の若い女性に囲まれる梛様が浮かんだ。

 遥斗は、苦渋の決断を即決した。


 「わっ…分かりました。俺が、梛様のお体を洗います…」


 「そうか…そうか…なら、頼む!」


 そう言って、梛様は又ニコっとして、狩衣と袴姿で立ったまま大の字の格好をした。


 「はっ?」


 遥斗は、又?と言う顔をしたが…


 「遥斗!早く!早く私の着ている物を脱がせろ!」


 梛様は、美しい大人の男の声で姿で、又3歳児のような感じだ。


 (そっから…やんないといけないのかよ…神様は…)


 遥斗は、気が遠くなりそうだった。









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縁結びの神様の癖に自分の結婚相手が見付からないイケメン神様の為に俺は結婚相手を探してます!早く結婚していただき神界へお帰りいただきたい! みゃー @ms7777

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