善福寺公園のおいけのさんぽ
葉っぱちゃん
第1話
さっちゃんは、ぜんぷくじこうえんのおいけのほそみちを、おかあさんといっしょにあるいています。
おひさまが、やさしくさっちゃんのせなかをてらしています。
さっちゃんとおかあさんはボートにのりにいくところでした。
みちにならんだ、あおむらさきいろのあじさいが、
「さっちゃん、こんにちは」と、いいました。
さっちゃんも、
「あじさいちゃん、こんにちは」とあいさつしました。
そこからすこしあるいていくと、かものむれが、いけからあがってきて、いちれつにならんで、さっちゃんとおかあさんのまえをよこぎって、きのしたのくさむらにいきました。
くさむらのなかで、かもたちは、くさのみをたべはじめました。
「かもちゃん、くさのみおいしい?」とさっちゃんはききました。
「おいしいよ、おいしいよ、ぐゎっぐゎ」とかもはいいました。
「いいわね、かもちゃん、ばいばい。さっちゃんはボートにのりにいくのよ」とさっちゃんはいいました。
さっちゃんとおかあさんはてをつないで、ボートのりばにいそぎました。
ボートのりばにつくと、さっちゃんのおにいちゃんと、いぬのジェシーが、じてんしゃでさきまわりして、まっていました。
ふたりをみつけると、ジェシーはよろこんで、しっぽをふっています。
さっちゃんは、ジェシーのあたまをなでました。
おかあさんは、ボートのきっぷうりばのひとにききました。
「いぬもボートにのっていいかしら?」
「いぬはだめですね」と、きっぷうりばのひとはいいました。
「それじゃ、ぼくはここでジェシーとまっているよ」とおにいちゃんはいいました。
ボートにのると、おかあさんはいっしょうけんめい、あしでボートをこぎました。
いけのみずが、さっちゃんのてにとどきそうでした。
さっちゃんはおおよろこび。
おかあさんが、ばしゃばしゃと、みずをきるおとをたててこぎ、ボートはいけのはしにきました。
そこのきのうえに、まっしろなさぎが、いちわとまっていて、けづくろいをしていました。
さっちゃんは、
「さぎさん、こんにちは」とあいさつしました。
さぎは、
「さっちゃんこんにちは。きょうはいいおてんきだね」といいました。
「きれいにして、どこかにでかけるの?」とさっちゃんはききました。
「うん、しものいけで、ともだちがまっているからいくんだよ」とさぎはいいました。
さっちゃんのいるところは、ぜんぷくじこうえんの「かみのいけ」。
もうひとつ、ぜんぷくじこうえんには「しものいけ」があります。
さぎは、あしやよしがいっぱいはえている「しものいけ」にいくそうです。
「じゃあな、さっちゃん、またな」といって、さぎはあおいおそらにとんでいきました。
「あれ、もうじかんがきたわ」とおかあさんはいいました。
おかあさんは、もとのボートのりばにぜんそくりょくで、ボートをこいでかえりました。
さんばしでジェシーとおにいちゃんがまちかまえていました。
ジェシーは一生懸命しっぽをふっています。
さっちゃんが陸に上がるとジェシーはとびついてきました。
「さあこんどは、ぼくのばんだよ」といって、おにいちゃんはジェシーをさっちゃんにわたしました。
「ぼくはオールでこぐボートにのるよ」
「ひとりでだいじょうぶ?」とおかあさんはききました。
「だいじょうぶだよ」といって、おにいちゃんはこぎはじめました。
ところが、おにいちゃんは、ひとりでのったのははじめてだったので、ボートはあっちむいたりこっちむいたりして、なかなかまえにすすみません。
「にいちゃんがんばれ!」とさっちゃんはおおごえでいいました。
するとボートはまえにすすみはじめました。
よいしょよいしょとうでにちからをいれてこいで、ボートがいけのはしのきのところにきたとき、にわのさぎがばたばたとそらをとんできて、きにとまりました。
おにいちゃんはボートをとめて、きのうえをみて、さぎとなにかおはなししています。
やがてせいげんじかんがきて、おにいちゃんはもどってきました。
おかあさんは、おにいちゃんに、
「さぎとなんのおはなししていたの?」とききました。
「さぎは、がんばてよかったね。じょうずにこげるようになったね、といってくれたんだよ」とおにいちゃんはうれしそうにこたえました。
それからみんなは、ジェシーをつれて、げんきいっぱいにいえにかえりました。
(終わり)
善福寺公園のおいけのさんぽ 葉っぱちゃん @bluebird114
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