紫が春編 その3
青空だったはずなのに、急に雲が街を覆う。
ザーッと雨が降ってきた。私は、傘を持っていなかったから近くの公園にある東屋に雨宿りすることにした。
「最悪!雨なんて聞いてないんだけど!」
「紫陽花って本当雨女なんだな」
遠くから同じ制服を着た長い黒髪の青い瞳の女茶髪の黒い瞳の男がこっちに走ってきた。
「...」
私は、そんな2人に気にせずに椅子に腰掛けた。
「誰よ、晴れるからデートしようと言ったのは」
「知らねえよ。紫陽花がデートしたいってうるさいから」
「はあ?」
「塾休んでもデートしてやろうとしたのに...本当、お前といると最悪だ」
「はあ?こんなこと言われるなら私だって貴方と付き合わなければよかった」
「は?告白してきたのお前だったのに?」
「だいたい、アプローチしてきたのは貴方の方からじゃない!」
2人はどうやらカップルみたいだった。そんな事、私には関係ない。2人が喧嘩しようが、いちゃいちゃしようが、別れようがどうだっていい。別に興味ないから。
「はいはい、さようなら。俺は帰るよ。この最低女」
「貴方なんてさっさと帰って」
男の方は、雨の中をずぶ濡れになりながら、走り去ってしまった。女の方は、反対側の椅子に座り、腕を組み、足を組んだ。変態ではないけど、彼女の白く綺麗な足が気になってしまう。視線を感じ、顔を上げると女と目が合ってしまった。とても睨みつけられていた。
「何よ」
「...あの、私達って何処かで会ったことありませんか?」
何言ってんだろ私。会ったこともないような人なのに。初対面なはずなのに。何故かその人を懐かしく感じてしまったのだ。相手は、驚いた顔をしていた。
「それって一体...」
「じ、冗談です!!何かの間違いでした!」
私がそう言うと、彼女は、呆れたようにため息を吐いた。
「はあ、呆れた。て言うかもう空が晴れてるじゃない」
空を見上げると、彼女の言った通り土砂降りだったはずの雨は、止んでいた。光が差し、空が綺麗な橙色に染まっていた。
「じゃあ、私帰るから。」
「あ、あの!」
東屋から出て行こうとする彼女の腕を掴んだ。
「...何」
「貴方は」
紫の戦士 雨解睦月 @mutuuuu
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