造形スキルとスライムと

 異世界転生二日目の朝は好きなだけ寝て起きてだらだらして、何となく動く気になったので家の周りの広大な平原を生かして畑を耕し果実や野菜なんかを育てることにした。

 畑を耕すのはほぼ丸一日かかったが不思議なもので全く嫌じゃなかった。

 現世で実験やるのも大変だったけど嫌いじゃなかったな〜〜。

 そして、造形スキルでブラウ鉱石を削ってみることにした。

 はてさてどんなものができるのか、物を作るのが好きな私に取ってこのスキルはまさにもってこいだ。

 一、原石を削りキラキラと輝く鉱物を取り出す。

 二、頭の中でどのように加工したいかイメージしてそのイメージを手から鉱石に移す。

 三、完成!

 なぜここまで簡単に加工できるのかは分からないがあっという間にイメージ通りの造形ができた。

 今回はビー玉ぐらいの大きさをした玉をいくつか作った。

 作ったはいいものの何に使おうか考えていなかった。

 コロコロ

 作ったビー玉は机の上を転がって行く。

 「そうだ!ピタゴラを作ろう 」

 家の近くに落ちている適当な枝を拾い加工してコースを作る。

 「ふぅ〜〜、完成 」

 コロコロ、ポン、ガチャン、コロコロ

 思った以上に上手くいったようだ。

 異世界転生三日目造形スキルを使うことに成功!

 「でも、まだ作った玉は余ってるし......そうだ!ブライトさんに見せてみよう 」

 魔術師ならこの余った玉の活かし方も知ってるかも。それに同じ魔術師がどんなことをするのかも聞いて見たいし。

 早速準備をして村に向かった。

 ブライトさんのお店はお洒落な骨董具店のような不思議な雰囲気をしている。

 店の前には見たことのない不思議な形をした杖や宝石箱が置いてある。

 それにしても綺麗だ。

 「おや?何か用事かね 」

 「へっ、あブライトさんお久しぶりです 」

 急に声をかけられたものだから変な声が出てしまった。

 「実はこんなものを作りまして 」

 私はバッグに入れていた玉を取り出し手のひらに乗せる。

 「ほお、こんなところで立ち話もあれだ中に入るといい 」

 木製の扉を開けて中に入る。

 何列かの棚がありそこに薬草や本が綺麗に入れられていた。

 ブライトさんは中央に設置されたレジの横にある扉を開ける。

 そこには大きな部屋がありどうやらここで生活しているようだ。

 真ん中にある丸い机を囲むように座る。

 私が魔術師だと言うことを話すとブライトさんは色々と魔術のことについて教えてくれた。

 攻撃魔法に防御魔法、そして日常生活で使える便利な魔法。

 そして本題の加工した鉱石を見せた。

 「これは凄いまさに球体私も100年ほど生きているがここまで綺麗なものは見たことないよ 」

 どうやら褒められたようだ。

 やったー!

 「ありがとうございます。これって何に使えるんですか? 」

 するとブライトさんは近くの引き出しから指輪を取り出した。

 「この指輪はブラウ鉱石で作った指輪だ。これをつけていれば水属性の魔法が強化されるんだよ 」

 ほえーー、そんな効果があるのか。

 その後ブライトさんとお茶お飲みながらお話をして帰りに買い物をして帰った。

 「そうだ、あの穴 」

 あの細道を通りまたあの大きな穴に入る。

 荷物は入り口に置いたが取られる心配はないだろう。

 いつ見ても綺麗だ。

 天井まで散りばめられた鉱石が輝いている。

 ガッ!

 「痛っ、なになに 」

 何かに躓いたようだ。

 「私の進行を止めたようとしたのは誰だーー 」

 足元には拳ほどの大きさの黒い石が落ちていた。

 これはまさか?

 「これ石炭だ! 」

 まさか異世界に石炭があるとは。

 ポヨンポヨン、アァーー

 あれ?まだスライムがいるのかな。

 私は平手打ちの準備をして奥に進む。

 コツコツ

 え?なにこれ

 そこには80センチくらいの青色のスライムが鎮座していた。

 これは大きすぎて平手打ちではダメそうだ。

 私は攻撃魔法を撃つために一歩身を引く。 

 敵に向かって攻撃魔法を放とうとした瞬間スライムは人が首を横に振るようにプルプルと震えた。

 もしかして好意的なのかな?

 恐る恐る近づいてスライム触ってみる。

 凄い気持ちがいい冷えてて触り心地もいい。

 撫でてみると少し身震いしてぴょこぴょこと飛ぶ。

 か、可愛い‼︎

 決めた!この子をペットにしよう。

 家に連れ帰りその日からスライムとの共同生活が始まった。 


     ⭐︎



 スライムと暮らしていていくつか分かったことがある。

 一、スライムは原石を体内に入れ鉱物だけの状態にすることができること。

 二、地面を沿って歩いているのに不思議と汚れることがないこと。

 三、体の大きさを自由自在に変えることができること。

 四、基本的にどこにでも着いてきてくれること。机に座っていると体を小さくして膝に乗ってくる。

 五、基本的に何でも食べること。一応果物か野菜を食べさせている。

 そして一番重要なのは......めちゃくちゃ可愛いってこと‼︎!

 どこにくるにもついてくるし、膝の上にちょこんっと乗るのなんて最高に可愛い。

 外の平原でスライムと一緒に昼寝するのなんて最高に気持ちがいい。

 ただスライムと呼ぶのもあれなので名前を決めた。

 「行くよ!リリフ 」

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汽笛一声異世界へ 〜不老不死の元鉄道技師と朗らか田舎でほのぼの開拓〜 鐵 幻華 @yorunokyuo

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